学校が再開したとはいえ、暑い時期のマスク着用など、「新しい生活様式」を取り入れながらの小学校生活は、親子ともに不安や戸惑いがあるでしょう。この時期に子どもが出すSOSのサインや、保護者が気を付けるべきポイントについて、国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科の田中恭子さんに聞きました。今回は低学年の心のケアについて紹介します。

(1) 休校明けの低学年「見えない疲れ」に注意して←今回はココ
(2) 学校行事中止、受験への焦り…子の気持ちどう支える
(3) 登校再開で親子の距離も変化? 高学年の心の支え方

子どもの心が不安定になりやすい新学期

 成育医療センターでは、新型コロナウイルス感染症によるストレスが子どもたちにもたらす影響や、大人が子どもたちとどう向き合い、どのような距離を取ればいいのかについて、「親子でできるストレス対処法」「子どもとできるセルフケア」など、現在ホームページに約10項目のリーフレットを掲載しています。田中さんは「休校明けのこの時期、子どもたちのストレスや疲労は大きいはず」と話します。

 「新型コロナウイルス感染への恐れや、長期間続いた休校により、子どもたちは大きな不安とストレスを抱えています。徐々に学校が再開され、一見いつものペースを取り戻したかに見えるこのごろですが、不安が解消されたわけではありません。むしろ親子ともに重い荷物を背負ったまま、日常生活を走り出したといえるでしょう。

 本来4月の入学・進級直後は、子どもたちの心が不安定になりやすい時期。なかでも小学校という新しい環境に踏み出した新1年生は、喜びも大きい半面、今までの人生で初めて経験するような、大きなストレスを抱えている可能性もあります。休校によって本来より大幅に時期がずれていますが、今まさにその不安定な時期を迎えているといえるでしょう」

 では、親は子どものストレスのサインにどう気づいてあげればいいでしょうか。また、コロナについて子どもに伝える際のポイントは? 次のページから紹介します。

休校が明けて喜びの半面、疲れを感じている時期かも。画像はイメージ
休校が明けて喜びの半面、疲れを感じている時期かも。画像はイメージ