行き渋りには「一歩進んだ」自信を持たせる
休校が明けて、元気いっぱいに小学校に通うと思っていたのに、学校に行きたくない、ママといたい、など想像とは違うわが子の反応が見られ、戸惑っている家庭もあるかもしれません。
「学校に行きたくない、通学途中で足が止まってしまう、どうしても教室に入れないなど、これらはすべて心理学の用語で『分離不安』といわれる状態です。特に1年生の場合、保育園や幼稚園にはお母さんが送り迎えをしてくれたのに、基本的には一人(もしくは集団)で登下校することになりますし、学校の中には当然のことながら親はいません。それは子どもにとって、なかでも分離不安が強い子どもにとっては、私たちが想像する以上に大変な状態です。
しかし休校明けのこの時期に低学年のお子さんがこのような状態に陥ることは、さほど心配すべき状態ではありません。分離不安が長期にわたって続くときや、高学年になって再びぶり返す場合は注意が必要ですが、休校明けの低学年でこのような状態がある場合は、しばらく様子をみましょう」
では具体的に、どのように向き合えばいいのでしょうか。
「なぜ学校に行かないのかと叱ったり、無理に連れていったりするよりも、優しい声で『今日はどこまでならできるかな?』と聞いてあげてください。選択肢を与えて、自身に自分の行動を選ばせるのです。
例えば校門までなら行けると答えたら今日はそこまで、それ以上は無理強いしないようにします。そして次の日にはまた同じことを聞いてみる。すると次第に『じゃあ保健室まで行ってみよう』とか、『担任の先生に会ってみる』といったように、少しずつ変化していくと思います。
大切なのは、焦らず子どもの歩調に親が合わせること。自分で決めて、選んで、それができた、という積み重ねを積むことで自己肯定感が高まり、子どもの自信につながります」
そして学校から帰ってきたら、一日の頑張りを褒めて、リラックスさせてあげましょう。低学年でも簡単にできるリラックス法は、深呼吸です。
2.口からゆっくり6秒かけて息を吐き切る。
ゆっくりと息を吸う、吐くことで副交感神経が優位となり、リラックスできます。例えばリコーダーやシャボン玉を吹くなど、思いっきり息を吐けるようなことであれば、深呼吸でなくても構いません。
そして子どもの心の状態には、大人の心の状態が大きく影響します。子どもをケアするだけでなく、お父さん、お母さん自身もおしゃべりしたり、ヨガやランニング、読書をしたりするなどリラックスできる時間をできるだけ確保して、この先長く続く可能性のあるウィズコロナの時代を乗り越えましょう。
取材・文/藍原育子(きいろ舎) 写真/鈴木愛子