なし崩し的に生活を戻さず、「わが家はどうしたいのか」を夫婦で確認

 林田さんは、ストレスをため込み、「無理」だと感じる一番の要因は「コロナ以前の価値観」ですべてをこなそうとしているからだと分析します。

 「そもそも子どもと一緒の在宅勤務で、コロナ以前の仕事量、スピード感、達成度で仕事をするのは無理です。これまでも育児や介護、自分の通院など何かしらの制約があって働いている人はいました。でも、その人たちが『24時間働けます』という人たちの働き方に合わせていたんですね。コロナを機に、思うように働けない大変さを共有できたからこそ、今の子育て世代が『両立は無理だ』とちゃんと声をあげ、家庭でも職場でも示していくべきです。そうやって新しい基準をつくっていく必要があります。なし崩し的に以前の生活に戻るのではなく、一度立ち止まって今後の生き方・働き方を考えましょう」

「24時間働けます」の考え方に合わせるのはもうやめよう。画像はイメージ
「24時間働けます」の考え方に合わせるのはもうやめよう。画像はイメージ

 熊野さんも「働き方を見直すべき」だといいます。

 「今はコロナだけでなく、育児や介護などいろんな制約があって、思うように働けないことがおかしくない時代。そろそろ『フル回転で働かなくてはいけない』という幻想を国民全体で取り外し、心豊かに生きていくべきです。

 夫婦について言うと、コロナを機に『このままではマズイよね』と会話をして建設的に動ける夫婦と、会話ができない夫婦とで、二極化が進むかもしれません。しっかりコミュニケーションがとれる関係性をつくり、新しい時代へシフトしていきましょう」