緊急事態宣言が全国で解除され、保育園の登園も少しずつ再開されています。しかしスムーズに園生活に戻れるのか、トラブルが起こらないか…と心配になる親もいるでしょう。そこで、チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美さんに、登園再開にあたっての保育園児のケアと、親の心構えを、前後編の2回に分けて聞きました。

【前編】通勤再開しても無理しない 周囲の力上手に借りよう
【後編】登園再開 保育園児の「不安のサイン」どう気づく? ←今回はココ

急激な変化に子どもたちは混乱しているかも

 新型コロナの影響下で、私たちの仕事や生活を取り巻く環境はガラリと変わりました。保育園が休園、または登園自粛となったケースでは、子どもたちへの影響も大きかったはずです。

 幼児期の子どもたちは、起きる時間、食事の時間、お迎えの時間など、毎日同じことを繰り返す中でさまざまなことを学びます。そのリズムが突然変わり、親の様子も以前とは違う。まだ言葉で理屈を理解できてなくても、親の表情や雰囲気、話し方といった非言語コミュニケーションを通して「ただ事ではないらしい」と感じ、混乱していたかもしれません

環境が変わることで不安になるのは、大人も子どもも同じ
環境が変わることで不安になるのは、大人も子どもも同じ

 また、保育園のお友達と会えなかったり、公園で自由に遊ぶことができなかったりしたこともストレスの一因となっていたでしょう。幼児期は「静」と「動」、両方の活動で遊ぶことがとても大切ですが、その「動」の遊びがほとんどできない状態でしたから。

 ただ、ママやパパはそのことで自分を責めないでくださいね。テレワークで子どもと遊んであげられない、仕事が進まない、それらはすべて「当たり前のこと」です。親が子どもの面倒をつきっきりで見ながらフルタイムで仕事をするのは非常に大変なことです。保育園がなかった時代、農業や自営業で共働きだった家では、祖父母や地域の誰かが一緒に子どもの面倒を見てくれていました。今はそんなつながりも薄れている中、社会全体で大変な事態にチャレンジしているのですから、うまくいかなくて当たり前なんです。

 環境が変わることで不安になるのは大人も子ども同じ。そこでやっておいてほしいのが、登園再開についても「最初はうまくいかないかもしれない」という心構えです。前編でも紹介しましたが、私はこれを「『かも』の法則」と呼んでいます。あらかじめ予測を立てておくことで、柔軟に動くことができると思います。