11都府県に出された2度目の緊急事態宣言。宣言の期間は延長される可能性もあり、先行きの見えない状態に閉塞感が広がっています。不安を抱えた子どもたちや保護者の心の持ち方について、国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科の田中恭子さんに、前後編に分けて解説してもらいます。

前編の今回は、同センターが親子を対象に行ったアンケート結果を基に、子どもたちの気持ちと、親の接し方について教えてもらいました。

【前編】コロナ自粛 今こそ自分と子を「ねぎらう」言葉がけを ←今回はココ
【後編】コロナ下のワガママは子のストレスサイン? 対処法は

多くの子どもがストレスを抱えている

 国立成育医療研究センターでは、コロナによる子どもたちへの影響に早くから注目し、子どもと保護者のストレスや生活環境の変化、それに伴う心身の健康状態について、「コロナ×こどもアンケート」というアンケート調査を定期的に行っています。小1から高3までの子どもたちと、0歳から高3までの子がいる保護者を対象としており、2020年9月から10月にかけて行われた3回目の調査では、1万人を超える子どもと保護者から回答が寄せられました。その結果の一部を紹介しましょう。


■(こども)さいきん1カ月の、あなたにあてはまるものをすべて選んでください
■(こども)さいきん1カ月の、あなたにあてはまるものをすべて選んでください
国立成育医療研究センター 第3回調査報告書「コロナ×こどもアンケート」から、小学生の調査結果を抜粋し日経DUALが作成

 アンケートでは、回答した小学生以上の子ども全体の42%が「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」と答えました。「すぐにイライラする」は 30%、「最近、集中できない」は 26%となり、その他の項目も含めて何らかのストレス反応を選択した子どもは、全体で73%になりました。

 また「コロナのせいで変わった生活のことを考えながら答えてください。あなたの家族はどうしています/いましたか?」という問いの中の、「おうちでの過ごし方を変える理由をわかりやすく教えてくれる」かどうかを聞いた質問に対して、「いつも」と答えた子どもが26%、「たいてい」が22%。一方で「ときどき」「少しだけ」は合わせて30%、「全くない」が10%でした。

 この結果から、子どもたちはストレスを抱えながらも、日常生活が変化した理由を保護者から十分に教えてもらえていなかったり、気持ちを受け止めてもらえていなかったりするケースがあることが見てとれます。

 子どもたちの声をより詳しく見ていきましょう。