経済学の領域から子育てや結婚、家族を研究する東京大学経済学部教授の山口慎太郎さんに、共働き家庭に関するデータを読み解いてもらう本連載。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い急速に広がった在宅勤務が家庭にもたらす変化や、教育のICT化について聞きました。

テレワーク普及、長期的には女性活躍へ

 山口さんは、コロナ禍でのテレワークについて「休校中、子育て家庭は大変だったでしょうが、テレワークが広がることは長期的に見れば女性、そして家族にとって過ごしやすい未来をもたらすでしょう」と話します。

 3~5月は子どもたちの臨時休校と企業の出勤自粛が重なったため、子育てと仕事を家の中で同時進行するという、まさに「異常事態」となりました。子育ては女性が担うというジェンダー規範が根強く残る日本社会では、家庭学習のフォローなども、母親が担うケースが多かったのではないかと、山口さんは推測します。

 「テレワークが労働生産性を維持しつつ(※1)、ワークライフバランスを高めるという調査結果(※2)もありますが、それはテレワークをしている場に子どもがいないことが前提です。今後、テレワークのメリットが発揮されるようになると、経済を押し上げる可能性も高まるでしょう