幼児向け教育番組『おかあさんといっしょ』(NHK教育・現Eテレ)で第17代「うたのおねえさん」として活躍した茂森あゆみさん。現在は17歳と12歳の男の子、10歳の女の子を育てながらコンサート活動やテレビ出演をしています。茂森さんが、子どもたちが幼い頃にどのような名作を子どもたちと楽しんでいたのか、教えてもらいました。

絵本をベースにした歌も楽しむ

日経xwoman編集部(以下、――) 「うたのおねえさん」を引退されてから3人の子育てをしてきた茂森さんですが、どんな作品を子どもたちに与えてきたのですか?

女優・タレントの茂森あゆみさん
女優・タレントの茂森あゆみさん

茂森あゆみ(以下、茂森) 今、高校生の長男がとにかく本が好きでした。思い起こしてみると3歳くらいまで毎晩寝る前に読み聞かせをしていました。何冊でも読みたがるので「年の数と同じだけね」と言って選ばせるのですが、毎回必ず『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』(文・絵バージニア・リー・バートン 訳・いしい ももこ/福音館書店)が入っていました。乗り物を描いた絵本が大好きでしたね。

『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』(文・絵バージニア・リー・バートン 訳・いしい ももこ/福音館書店)
『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』(文・絵バージニア・リー・バートン 訳・いしい ももこ/福音館書店)

―― 赤ちゃんの頃はどんな絵本を読み聞かせしていましたか。

茂森 世界中の皆さんが読ませているのではないかと思うのですが『はらぺこあおむし』(作・エリック・カール 訳・もりひさし/偕成社)が定番でした。通常版と、お出かけ用の小さいサイズと、ベビーカーに付けられる布製のものの3冊を持っていました。エリック・カールさんの作品は色鮮やかで、子どもの初めての絵本として本当に楽しいんじゃないかなと思います。大人が毎日のように読んでも楽しい作品ですよね。

 子どもたちが小さい頃は、私はただ読み聞かせをしていたのですが、この絵本には歌もあるんですよね。娘が卒園した幼稚園から「園で『はらぺこあおむし』の歌を歌ってください」と頼まれて初めて知りました(笑)。子どもたちが一緒に歌いながらストーリーを楽しめるのでいいなと思います。

―― お子さんたちにも絵本を下地にした歌を歌ったりされていたのでしょうか?

茂森 私は『ブレーメンのおんがくたい』の歌を、寝る前によく歌っていました。もとの名作があって、『おかあさんといっしょ』でも歌っていた歌です。子どもたちがそれぞれ「今日は僕がロバね」「私が猫」と役割を決めて鳴き声のところを歌ったりしていました。私が「うたのおねえさん」だったからなのか、読み聞かせは歌交じりでやることが多かったですね。『そらまめくんシリーズ』(なかや みわ/福音館書店)も歌の部分があって、メロディーは書かれていないので勝手に作曲して歌ったりしていました。

―― お母さんがうたのおねえさんというのは羨ましいです!

茂森 子どもたちが小さいときは、私が「うたのおねえさん」だったとは知らなかったんです。ただ長男の幼稚園時代に、私が『クインテット』(NHK教育)で「アリアさん」という人形キャラクターの声優をやっていたことは知っていたので、長男のお友達は私のことを「アリアさん」と呼んでくれていました(笑)。

―― 子どもに絵本を読み聞かせるコツがあれば教えてください。

茂森 私はあまり読み聞かせが上手じゃないと思っているのですが、面白くは読めるかなと思います(笑)。ポイントとしては、登場人物ごとに声色を変えて読むことを意識する、ということでしょうか。普通に読むと、「読み聞かせる」というより淡々と読んでしまう感じになりますよね、小学校の国語の教科書を音読するような感じで。でも、絵本を読むときに登場人物の声色を変えると、抑揚も付けやすくなるので、自分も読みやすくなると思います。

 あとは、子どもを膝の上に乗せて読むようにしていました。触れ合いも大事かなと思います。末っ子の娘は小柄なこともあって、小学生5年生になった今でもときどき「一緒に読もう」と言って私の膝に座ることがあります。