日々忙しいけど、子どもの内面を豊かにしたり、視野を広げてくれたりする絵本や映画、舞台に触れさせたいという人は多いはず。でもどんな作品を選べばいいのか、迷ってしまいますよね。そこで、各界で活躍している、映画や音楽、本などに造詣が深いママやパパに、子どもにどのような作品を薦めたいと思っているかを聞いていきます。

今回は、東京大学卒で、弁護士・タレントとしてテレビや雑誌でも活躍する、5歳の男の子のママである三輪記子さんに聞きました。

幼稚園時代に手塚治虫さんが来てくれた思い出とは

日経xwoman編集部(以下、――) 三輪さんは弁護士、タレントとして活躍されています。いま息子さんは5歳とのことですが、将来読ませたい名作を教えてください。

弁護士・タレントとして活躍する三輪記子さん
弁護士・タレントとして活躍する三輪記子さん

三輪記子さん(以下、敬称略) まず挙げたいのは、私が小学生の時に感銘を受けた『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子/講談社文庫)です。主人公のトットちゃん(黒柳徹子さん)は最初に入学した公立小学校を退学になってしまいます。それって本当にひどいことですよね。当時読んで、「大人って、めちゃくちゃなことをするんだな」と怒りを感じたことを覚えています。

―― トットちゃんの自由奔放さが最初の小学校では受け入れてもらえなかったんですね。

 『窓ぎわのトットちゃん 新組版』(黒柳徹子/講談社文庫)
『窓ぎわのトットちゃん 新組版』(黒柳徹子/講談社文庫)

三輪 だけどその後、トットちゃんは自由な校風のトモエ学園に入って素晴らしい先生に出会います。それを読んで、「自由でいてもいいんだな」と感動したんです。この作品は、自分が自由をものすごく大事にする人間だと、幼いながらに自覚するきっかけになりました。自分はありのままでいい、個性を尊重してもらうことは大事。そういうことを伝えたいと思うので、そういう点で、子どもにも薦めたいと思います。

 もう1作品、息子に薦めたいのが手塚治虫の『火の鳥』です。漫画はすでに日本の文学でありメインカルチャーになっていると思います。人が成長する過程で触れておきたい漫画作品は非常に多いですよね。漫画にも名作はたくさんあるのですが、誰の、どの作品を読んでほしいかと考えると『火の鳥』ですね。

『火の鳥(カラー版)』(手塚治虫/手塚プロダクション)
『火の鳥(カラー版)』(手塚治虫/手塚プロダクション)

 小さい時は手塚さんの『ふしぎなメルモ』や『リボンの騎士』のアニメが大好きでした。幼稚園の時に、手塚さんにお会いしているのです。私が通っていた佛教大学付属幼稚園へ講演会に来てくれたことがありました。講堂のような場所で、紙にいろいろと絵を描いてくれたことを覚えています。それが本当に印象的で……。小さい時に、さまざまな職業の人に会うことはすごく良い経験だと思います。