中学受験の過熱感が強まり、世の中に情報があふれている一方で、「本来は主流なはずの高校受験が、逆によく分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。そこでDUALでは、ベールに包まれがちな首都圏の高校受験を経験した先輩親に、根掘り葉掘り聞いていきます。連載2回目は、「本人に決めさせる」方針を貫き、自然体で挑んだ井田リエさん親子の高校受験物語です。前編「兄の経験生かし、妹の高校受験も本人のペースを優先」に続いて、後編では、志望校決定までの紆余曲折(うよきょくせつ)とその後について聞きました。

【前編】兄の経験生かし、妹の高校受験も本人のペースを優先
【後編】第1志望の都立高校に出願後「取下げ」、軌道修正 ←今回はココ

《プロフィール&共通データ》

母:井田里香さん(仮名・小売り勤務)

長女:リエさん(仮名。2022年4月から都立芦花高校へ進学)

【家族】
父(メーカー勤務)
兄(大学3年生)

【通塾】
中1~中2夏 なし(通信教育)
中2夏~中2・3月 個別指導塾
中3春~ 集団指導塾

【受験校】
都立 芦花高校 ◎
私立 K学園(国際コース)併願優遇 〇

【受験勉強関連の出費】
約90万円(通信教育、塾)

【高校受験以前の学習、習い事】
英会話(小1~中3)、ピアノ(年長~現在)、体操・スイミング(年少~小3)、習字(小3~小6)

私立は「併願優遇」の1校に絞り、都立校対策に全力を注ぐ

日経xwomanDUAL(以下、──) 中3の12月の段階で、志望校について悩んでいたと聞きました。

井田里香さん(以下、敬称略) はい、中3の12月に学校で3者面談があり「仮調査」というものがありました。その段階での志望校を提出すると、それが集計され、その結果を1月に志望倍率データとして確認することができます。

 1月になってデータを見たら、リエの第1志望だった神代高校の倍率が爆上がりで! リエは模試の成績は順調に伸びていて、狙えるところまで近づいてきていたのですが、どうしても内申点が足りていませんでした。

 親としては難しいと感じたのですが、本人は、「神代高校しか行きたくない」と言って、都立高校の願書は神代高校に出すことにしました。

── 併願校の私立高校はどのように決めましたか。

井田 第1志望が都立高校の場合、私立高校は「併願優遇」といって、都立高校が落ちてしまったら、ほぼ確実に入れるような私立高校の受験の仕組みがありまして、そちらを活用することにしました。

 「併願優遇」で私立高校を受ける場合、基本的には1校だけしか受けられないのですが、学校によっては他の私立高校を受けてもよい場合があり、娘が希望していたK学園は、その対象でした。塾からは「チャレンジ校として、もう1つ私立校を受けてみたら」と言われましたが、都立と私立では入試対策が大きく異なり、勉強がどっちつかずになるのは避けたいと親子で考え、リエもチャレンジ校としての私立高校には、魅力に感じるところがなかったようで、K学園の国際コースを併願優遇で受けることにしました。

 K学園は、進学コースや国際コースなど、さまざまなコースが選べるのですが、英語が好きで生かせそうだと思ったことと、見学に行ったときに授業が魅力的だったこともあり、私立はK学園の国際コース1校に絞りました。内申点の基準もクリアしていたので大丈夫そうだねと話しました。