中学受験の過熱感が強まり、世の中に情報があふれている一方で、「本来は主流なはずの高校受験が、逆によく分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。そこでDUALでは、ベールに包まれがちな首都圏の高校受験を経験した先輩親に、根掘り葉掘り聞いていきます。連載2回目は、「本人に決めさせる」方針を貫き、自然体で挑んだ井田リエさん親子の高校受験物語です。

【前編】兄の経験生かし、妹の高校受験も本人のペースを優先 ←今回はココ
【後編】第1志望の都立高校に出願後「取下げ」 軌道修正

《プロフィール&共通データ》

母:井田里香さん(仮名・小売り勤務)

長女:リエさん(仮名。2022年4月から都立芦花高校へ進学)

【家族】
父(メーカー勤務)
兄(大学3年生)

【通塾】
中1~中2夏 なし(通信教育)
中2夏~中2・3月 個別指導塾
中3春~ 集団指導塾

【受験校】
都立 芦花高校 ◎
私立 K学園(国際コース)併願優遇 〇

【受験勉強関連の出費】
約90万円(通信教育、塾)

【高校受験以前の学習、習い事】
英会話(小1~中3)、ピアノ(年長~現在)、体操・スイミング(年少~小3)、習字(小3~小6)

兄は中2まで反抗期が続き、高校受験に苦戦

日経xwomanDUAL(以下、──) 小学校時代、リエさんは勉強に関してはいかがでしたか。

井田里香さん(以下、井田) 娘は都内の公立小学校に通っていましたが、その学校は中学受験をする子がクラスの4分の1くらいとそれほど多くはありませんでした。私が地元の公立高校出身ということもあって、リエも地元の公立中学に進ませる予定で、小学校生活は遊びや習い事がメインでした。

 ただ、英語が好きになってほしいという理由で、小1から英会話を習っていました。個人経営の日本人の先生で、リエの5つ上の兄も通っていてとてもすてきな先生だったので、楽しく通うようになりました。

── 地元の中学に進学して、いかがでしたか。

井田 リエの5つ上の兄も公立中学校に通ったということもあり、特に不安はありませんでした。ただ、実は大変だったのが兄のほうで。小5から中2くらいまでひどい反抗期で、親子でなかなかコミュニケーションが取れず……。小学校高学年から集団塾に通っていたのですが、中1ぐらいから「今日は行きたくない」とボイコットすることもたびたびあり、このままでは成績が上がらないどころか、勉強が嫌いになる一方だと焦りました。ご近所のママから、そういった困った状況を救ってくれる地元の個人塾があると聞いて、試しに連れていったら、塾の先生と話が盛り上がって通うことになりました。