仕事をしながらの妊娠生活も、出産も、育休の過ごし方も十人十色。「これが正解」というものはありませんが、いざ妊娠・出産となった時に備えて心づもりはしておきたいもの。身近な共働きママたちのリアルな声をお届けする連載2回目は、東京都在住のメーカーマーケティング職、村松奈津実さんに話を聞きました。

村松奈津実さん
都内メーカーでマーケティング職として働く1児のママ。2020年に出た緊急事態宣言直前の3月に出産、その後は、自分や夫の実家で過ごす。現在は都内で、1歳の息子、2020年1月に転職した旅行関連会社勤務の夫と3人暮らし。2021年4月下旬に職場復帰した。

昇格と子どもで悩むも、あきらめられないのは「子ども」だった

日経クロスウーマン DUAL(以下、――) 村松さんは、商品企画や販促企画などを行う忙しい部署で働いていたとのことですが、妊娠が分かったのは、どういったタイミングだったのですか?

村松奈津実さん(以下、村松) 2019年3月に結婚し、当初から「赤ちゃんが欲しいね」と話していました。しかし、すぐには授からないまま昇格試験のタイミングになり、試験を受けるなら妊活はいったんあきらめなきゃいけないと悩んでいました。赤ちゃんを授かることを望んでいたけれど、上司や周囲の人から「先に昇格しておいたほうがいい」と言われ、目の前にキャリアアップのチャンスがあるならつかんでおきたい気持ちもありました。「昇格試験エントリー期日までに授かれば試験は受けない。授からなければ、一旦、試験に専念しよう」と夫に伝えた3日後、妊娠が分かりました。

―― 思いがけないタイミングでの妊娠だったのですね。

村松 そうですね。自分にとっての一大決心をして夫に話した直後だったので驚きました。重い話でしたから、あと3日早ければそんな話をする必要もなかったのに、とも思いました(笑)。やっぱりうれしかったですね。私がより欲しかったのは赤ちゃんだったので。

―― 先に昇格しておいたほうがいいと言われたとき、村松さんはどう思いましたか?

村松 昇格も大事だけど、「自分の人生でよりあきらめられないのは子どもだ」と思いました。もし何年か後に昇格できなくても仕方がない、ほかにいろいろな道を考えればいいと。

 もちろん、昇格して40歳ぐらいまで仕事を頑張り、それから妊活して産めるという人もいると思いますし、それもすてきな選択だと思います。でも、自分がもし産みづらい体質だったら? 「もっと少しでも早くから努力していれば子どもに会えていたのに」と思ったら、私は、悔やんでも悔やみきれないと思いました。