育休は、仕事に生かせる気づきを得られた貴重な時間

―― 「キャリアの棚卸し」、ですか。

村松 はい。育休が始まる前、私は、妊娠・出産はブランクなんだろうと思っていました。でも、実際に経験してみたら、視野が広がる、すごくいいきっかけでした。

 私は商品企画や販促企画などの仕事をしてきましたが、今までは、少し細かいところばかりに目が行って、消費者の感覚と少しずれていた部分があったのかもしれないと気づきました。育休中、自社の商品が並んでいる店頭を実際に見たり、テレビで流れているCMを一消費者としての目線から見たりしたことでそれを実感し、今後の仕事に生かせそうな気がしています。

―― 仕事と育児、家事のバランスについて、今後は、どうしていきたいと思っていますか?

村松 まだ復帰してわずかですが、頑張りすぎないようにしています。SNSを見ていると、何もかもキレイにしていたり、おかずを何品も用意していたりする人がたくさんいて、それは本当にすごいなと尊敬していますが、自分は栄養さえあれば少ない品数だったりベビーフードを使ったりしてもいいなと思っているんです。

 無理せず、頼れるサービスは頼りながら、自分が元気にしていることが、家族にとっても息子にとってもハッピーだと信じて、自分を犠牲にしないようにしています。その上で、今後もいろいろなことに挑戦して、失敗してもいいから「楽しいことをたくさんしてきたよ」って、息子に伝えていきたいなと思っています。

取材/武末明子(日経xwoman DUAL) 文/荒木晶子 写真/坂齋清 写真提供/村松さん