お産は呼吸が大事 もっと早くに気づきたかった!

―― 産院選びはどうしましたか?

村松 自宅近くの産婦人科クリニックで出産しました。インターネットで口コミなどを調べて受診したら、院長先生がこちらを安心させてくれる、頼れる感じの人だったので決めました。

―― その頃、「こんな出産がいい」というイメージはありましたか?

村松 産院でバースプランを聞かれたので、「立ち会い分娩で夫が頭側に立つようにしてほしい」とか、「分娩後に夫と赤ちゃんの3人で撮影したい」などの希望を記入して提出しました。無痛分娩もできる病院だったので、「陣痛が進んで痛みに耐えられなかったら、途中で無痛分娩に切り替えたい」というのも、お願いしました。

 最初から無痛分娩にする選択肢もありましたが、「人が生まれるときの大変さってどんなものだろう」というのを、体感してみたいという気持ちがあったんです。

―― 実際に、出産を経験してみてどうでしたか?

村松 予定日を大幅に過ぎての出産になりました。予定日を1週間過ぎた日に受診すると、「じゃあ、次の月曜日に陣痛促進剤を使いましょう」ということになりました。陣痛促進剤を使ったらその日に生まれるものと思っていたんですが、夕方になって、「きょうはもう生まれなさそうだから、陣痛促進剤はストップします」と言われました。

 結局、夜中はずっと何分かおきに痛い状態が続き、翌朝からもう1回陣痛促進剤を使って、朝の10時半ぐらいに産まれました。41週と2日。予定日から9日遅れでした。

―― 無痛分娩に切り替えることはしなかったのですか?

村松 できなかったわけではないですが、なぜでしょうね。「まだ行ける! 行くんだ!」と思っていて。切り替えたいと思ったときもありましたが、もうこれだけ痛みを味わったんだし、今さらだな、と思いました(笑)。

―― 出産のときに、これをしておけばよかったと思ったことはありますか?

村松 早いうちから、もっとしっかり呼吸法を学び、意識できればよかったです。私は、出産予定日の2~3週間前にSNSで呼吸法を見つけて、家でも少し練習をしていました。ですが、実際の陣痛時には、いっぱいいっぱいでそれどころではなくて。息を吐くことを意識できずに、ただただ、痛みに耐えるしかなかったんです。

 助産師さんから「それじゃお産進まないよ。戦うんじゃなくて、長~く吐くの」と言われても、心の中では「そんなのできないよ!」と思っていました。それでも、「プロが言うことだからちょっとだけやってみよう」と、息を吸って吸ってふーっと吐く、というのを意識し始めたら、ふと、すごくラクになったんですね。ああ、陣痛は戦うのではなくて、受け流すのが大事なんだ、ということをそのとき身にしみて実感しました。

 もっと早く気づけていたら、よりお産が早く進んだかもしれないし、痛みも少しは和らいだんじゃないかな、と思います。もし、2人目を産むことがあったら、今度こそ、最初から長く吐く、いきみ逃しの呼吸を意識しようと思っています。