夫の育休取得は、1回目が母子が退院してすぐから3週間。2回目は1~2カ月ぐらいたってから、突然、「仕事を休める期間ができた」と言って、2週間取ってくれました。

 夫は所属部署の中で男性育休取得者第1号となったので、本人としては思い切った決断だったのではないかと思います。ほかの会社に勤める友人からも「夫が育休を取った」という話はあまり聞かないので、おそらく誰かに相談したわけではなく、自分で決めたのではないでしょうか。「若手が育休を取りやすくするためにも、自分が取る」とも言っていました

 「夫の育休期間中、夫の分の食事も作らなくてはならず、かえって手間がかかった」とか「育休といって家にいるけれど、結局あまり役に立たなかった」というような「取るだけ育休」のニュースも目にしていました。なので、夫が育休に入るにあたっては、「2人分昼食を作るとかは勘弁してね」というのはもちろん、「短くても1人の時間を作りたいのでゆっくりお風呂に入りたい」などのオーダーを出しました。やはり、自分がしてほしいことは、言わないと相手にはわからないと思うので、伝えなくちゃいけないなと。育休期間中は夫が保育園への送迎だけでなく、家事も引き受けてくれたので、本当に助かりました。

 伝える内容については、次女が生まれてから考えました。長女を産んでから6年たっているので、「どんなことが大変だったか」「何が一番しんどかったか」など、そのときのことを思い出しながら、「何を担ってほしいか」決めていきました

 最優先でお願いしたのは「長女のケアをしてほしい」ということでした。私自身はどうしても次女の世話に時間を取られてしまい、長女と遊んだり、話を聞いてあげたりする時間がなかなか取れないと思ったからです。夫には、「保育園にただ送迎するだけではなくて、帰りに公園に寄るとか、遊びに連れていくとかしてほしい」と希望を伝えました

2人目が生まれる前に「長女をトレーニング」

 長女に対しては、育児の即戦力として期待していたのですが(笑)、早々にそうはならないと悟りました。たどたどしく抱っこして危なっかしいので、次女の首が据わるまでは抱っこ禁止に。おむつ替えも無理だとわかりました。

 でも、育児のお手伝いができなくても、自分で身支度をしてくれるだけでも助かります。その点、長女1人でお風呂に入れるようにしておいたのは、我ながら本当に良かったと思っています。次女を妊娠したときから、徐々に1人で入れるように訓練していました。最初は嫌がっていましたが、「今日は脱衣所にいるから、体を洗ったら呼んでくれる?」「今日はシャンプーが終わったら、ママが流すね」などと、少しずつ段階を踏んで1人でできることを増やしていったところ、完璧ではありませんが、ひと通りのことはできるようになりました。髪が長くて、シャンプーが流しきれていないことがあるため、そのチェックだけは今でもしていますが、それも服を着たまま、次女を抱っこした状態でできるので、苦ではありません。

 これから2人目を育てる方には、朝が一番大変なので、朝のフォーメーションを決めておくことが大切だとお伝えしたいです。上の子を起こす、朝食の用意や後片付けをする、上の子を保育園に送っていくというルーティンのほかにも、子どもがいればイレギュラーのことも起こります。誰が何を担当するのかを決めておかないと、時間がいくらあっても足りません

 それと、「これさえあれば上の子の朝の支度がはかどるもの」を見つけておくことも、ポイントだと思います。その子によっていろいろあると思いますが、うちの場合は「早く支度が終わったら、動画を見ていい」ということにして、夫も娘に対して同じ手法を使っていました。自分しか使えない「ママ限定」の手法よりも、ママもパパも使える手法があれば、それが一番いいのではないかと思います。


 後編は、2人目の保活で思わぬ苦戦を強いられたエピソードや、家庭内プロジェクトなどについて聞きます。

取材・文/荒木晶子 イメージ写真/PIXTA