「何かおかしい」という直感が現実に

 右胸に腫瘍があると分かったのは20代後半。乳がん検診の体験取材でモデルとなって検診を受けたときでした。超音波で腫瘍があるのが分かり、「結婚したばかりなのに、もしもがんだったら……」と目の前が真っ暗になったのを覚えています。しかし結果は良性腫瘍。そこからは定期的に検診を受けて経過観察を続けてきました。

 しかし出産し、授乳を終えたあたりから右胸の内側に、ぽつんと何かが触れるようになりました。検診時にそれを告げると、「そこに良性腫瘍があります」という返事。しかし心配だったので、何度か保険会社の店頭に置いてある「乳がん触診模型」を触りに行き、自分のものと比べました。確かに、自分のものはしこりというには軟らかい。だから問題ないのだろうと思っていたのですが、次第に、軽く触っただけでも違和感を抱くようになりました。「何かおかしい」と嫌な予感がしました。

画像はイメージ
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 医師は問題ないと言っているし……と悩みましたが、あるとき思い切って自分から「針生検をしてください」とお願いしました。針生検とは太い針を刺して組織を取り出し、異常があるかどうかを確認するもので、通常は「がんの疑いあり」となった時点で行われることが多い検査です。

 結果を聞きに行くときも「やはり異常はありませんでした。また来年来てください」と言われるとばかり思っていたのです。しかしそこで告げられた結果は「悪性」。まさかのがんの告知でした。