日本の学校関係者に向けてセミナーも開催

 同学園の1学年は定員24人と少なく、事前アンケートでWi-Fi環境がない、機材が1つもないと答えた家庭はゼロでした。きょうだい分の機材が足りない人、機材を持っていない先生には、学校がもともと授業で活用していたiPadを貸し出しています。全日制、週末校合わせて約800人が在籍、うち駐在員家族が9割に上ります。日本語保持の観点から教育への関心が極めて強い背景もあり、オンライン教育を進める環境が整っていたという事情はあります。ちなみに、オンライン授業の環境が整っていれば、今後コロナが収束した後も、病気やケガ、所用での一時帰国など長期欠席の児童に対し、学習機会を提供できる可能性にもつながります

 ただ、課題は残されています。週1回に限られる週末校は低学年が35分、中高学年が40分授業ですが、全日制は連日スクリーンを眺めることを考慮し、全学年1コマ30分です。閉鎖前は40分でしたので、進捗の遅れが見込まれます。先生が教室で監督しない中でのテスト実施は難しいため、学期末の通知表評価をどうするかという問題もあります。先生によって、デジタル機器操作の得手不得手もなくはありません。

 大村功教頭は「オンライン学習が進んでいない日本の現状を知り、改善点こそあるが、こちらの経験をシェアできないかと考えている。教えたくても教えられない現場の教師は、情熱の行き先を見失っているのではないか」と懸念しています。ノウハウを知りたいという連絡が日本から同学園に殺到していることを受け、4月末からZoom(ビデオ通話)を通じたセミナーを計5回開催。私も取材として一度傍聴しましたが、日本の学校関係者だけでなく、文部科学省、教育委員会の関係者まで参加し、関心の高さがうかがえました。