わが子たちはスクリーンの前に座り、それぞれが授業や保育を受けてくれるので、私も妻も土曜日のこの間は、何とか自分の時間を確保できています、とりわけ、友達や先生と画面越しとはいえ、久々に会えている長女は慣れ親しんだ日本語環境ということも相まって、楽しみながら学習してくれています。

黒板代わりのiPad 画面上で添削も

 平日通学の全日制では、新学年始業日の4月1日から、土日の週末校は4月の中旬から始まりました。同校の岡本徹学園長は「(勉強が続けられるのかを心配する)保護者の不安を解消するには、学校の意思を明確にする必要があった。新学年初日に当たる4月1日に間に合わせようと、先生たちが急ピッチで双方向授業の準備を整えてくれた」と強調。同校も現地校同様、3月中旬から学校閉鎖に追い込まれましたが、1週間後には「4月からオンライン授業をスタートさせる」と全日制の保護者に通知しました。

学校の教室で、カメラに向かって算数の授業を行う竹山さん
学校の教室で、カメラに向かって算数の授業を行う竹山さん

 一時的に日本へ退避して日本で教育を受けさせることを検討、準備していた親子の中には、この連絡を受け、帰国を取りやめた人たちもいます。保護者からは「子どもの生活にリズムができ、とにかくありがたい」「外出できない中、友達と交流できるのが、心の支えになっている」と軒並み、歓迎する声が上がっています。

 「それでは、神戸とリオデジャネイロの平均気温の折れ線グラフを書いてみましょう」


写真A 先生が作成した折れ線グラフのiPad画面
写真A 先生が作成した折れ線グラフのiPad画面

 4月末、ひっそりとした教室で算数を教える竹山輝さん(全日制4年生担任)がパソコン越しに呼び掛けると、14人の児童が一斉に取り掛かりました。児童の顔が映るパソコンと黒板代わりのiPadを接続し、先生も専用ペンを用いて、グラフを作成。全児童が完成し終えたのを見届けた後、グラフ画面(写真A)を児童と共有し、お手本として示しました。


写真B 児童が提出した筆算を、先生が添削したiPad画面
写真B 児童が提出した筆算を、先生が添削したiPad画面

 桁が多く、工夫が必要な筆算の演習では、児童が解いたノートを先生がiPadにキャプチャーし、画面上(写真B)で添削。できるだけ色を多く用いて、飽きさせないよう、視覚的にも分かりやすく見せています。コピーやペーストも簡単にできるため「黒板での板書よりもきれいに仕上がる」(竹山さん)とのこと。主任の中村健人さん(全日制5年生担任)は「児童の表情が一様に分かる。友達にちょっかいを出したりできないので、全員が授業に集中できている」とオンラインならではのメリットを指摘します。


学校の教室で、算数の授業に臨む中村さん
学校の教室で、算数の授業に臨む中村さん

 先生たちは一部を除き、自宅からグーグルの会議サービス「Google Meet」や教育向けサービスの「Google Classroom」を使って、指導に当たっています。同校が最も力を入れている英語をはじめ、国語、算数、理科、社会、さらには音楽や体育、図工、書写などの専門科目までオンライン化。教科書とドリルなどの副教材は新学期前に、広範囲に散っている児童宅に直接届けるか、宅配で届けました