テキストには日付が振られ、国語、算数、理科、社会の4科目の課題が毎日出されます。子どもたちは自宅で課題をやり、オンライン授業で質問をしたり、答え合わせをしたりして、終わった課題をまたWhatsAppで担当教員へ送付します。こう書くと実にスマートに見えますが、実際のところオンライン授業の最も価値ある点は、子どもたちがクラスメートや先生とコミュニケーションが取れるところでしょう。

 と言うのも、私自身、娘の自宅学習を2週間ほどフォローしてみて分かりましたが、1日1時間半程度のオンライン授業で4科目の内容はとてもカバーできず、結局は親たちが学習項目を説明し、宿題もやらせるわけで、その負担やかかる時間は相当なものになります。また、娘の小学校では4科目以外にも美術、テクノロジー、菜園、チェスなどが正式科目としてあり、各担当教員が個別に課題を送ってくるので、親子共にどんどん追い詰められていく気がします。

 おもしろいのは、WhatsAppの学校グループのコメントが、時としてストレスで爆発したママたちのブラックユーモアで埋め尽くされる点。「私の絶叫でご近所から警察に通報されるんじゃないかと心配」「学校からのメッセージ着信音が鳴るたび心臓発作を起こしそう」などなど。みんなそれを見て爆笑し、大いに鬱憤を晴らしながら、「私だけじゃないんだわ」と胸をなで下ろしてまた頑張る、というパターンです。

 さて、わが家の場合は一人っ子ですでにいっぱいいっぱいですが、複数の子どもがいる家庭で、しかも親が仕事を続けながら自宅学習をフォローするには一体どうしたらいいのでしょう。そのヒントをくれたのが、仲良しのベッソン家でした。

ベッソン家のみんなが幸せになれるアイデア

 ベッソン家は歴史教師であるお父さんのセバスティアン(42歳)、美術教師でストップモーションアニメーターでもあるお母さんのマルティーナ(39歳)、小学校5年生のフリーダちゃん(10歳)、プリスクール(小学校入学前の義務教育の5歳児クラス)に通うシモン君(5歳)、そして末っ子タニアちゃん(1歳4カ月)の5人家族です。

ベッソン家の5人。元気いっぱいの3人の子どもを自宅待機させるのは大変。毎日、3人を楽しませるために知恵を絞る必要があります
ベッソン家の5人。元気いっぱいの3人の子どもを自宅待機させるのは大変。毎日、3人を楽しませるために知恵を絞る必要があります

 フリーダちゃんとシモン君には学校の宿題が毎日あるうえ、いっときも目を離せない、よちよち歩きのタニアちゃんがいます。お父さんは歴史教師として、毎日課題を準備して生徒に配布し、返送された内容を添削する仕事があり、お母さんも進行中のアニメーションの撮影があるなど、全く余裕がない毎日を過ごしています。そんな中、ベッソン夫婦が編み出したのは、「フリーダちゃんの宿題をおじいちゃんや伯母さんにオンライン通話で見てもらう」という妙案でした。