また、課題とは別に学校から提供された、学校推薦の良質な家庭学習アプリも重宝しています。ドイツ語圏(ドイツ、スイス、オーストリア)共通の学習モジュールの中から、先生がクラスに必要なものをカスタマイズし、生徒は自分のアカウントから問題を解いていく、というもので、先生が進捗を把握しやすいという利点もあります。モジュールが終わるとミニゲームで遊ぶことができるのが魅力で、わが家は長男だけでなく、次男も小1の教材を楽しんで進めています。本人たちは休憩時間に遊んでいるつもりでも、実はしっかりと勉強になっています。

拍手が日課。家族で一日を振り返る、貴重な機会

 以上のように、日々の生活の中で、家族ですり合わせや話し合いをしながら、生活リズムと優先順位を守る工夫を重ねてきました。

 別々の仕事をしていても、夫婦はチームです。今は休校と家庭学習により、家族全体がチームとなり、それぞれの日々の目標を協力して達成することが、日常になっています。遊びたい盛りのやんちゃな子どもたちに1日のリズムを守らせ、さらに仕事時間まで確保するのは、どの家庭でも一番の課題でしょう。しかし、それぞれ少しずつ譲り合い、感謝し合うことで、家族のきずなは深まり、充実した生活を送っている実感があります。

 私たちの住む地域では、医療従事者だけではなく、家にいるすべての人に感謝して、毎日18時にベランダから拍手をする習慣が定着しています。この拍手タイムは、家族で1日を振り返る、貴重な機会です。育児しつつも仕事時間を確保できた夫、先生&保育士&自営業者&妻&母親の5役をこなした自分、家庭学習の課題を頑張った長男、机を並べてカタカナを練習した次男、「もっと」と「あった」が言えるようになった娘、それぞれに、「よくやったね!」と声を掛けながら、大きな拍手を送っています

 いつかこの、家庭学習と在宅ワークの日々が、有意義で楽しかったと振り返る日が、きっとくるでしょう。その日まで、家族で過ごせる貴重な日々を、大切に過ごしたいと思います。

御影実(みかげ・みのる)
フォトライター・経営者・元国際機関職員
2004年よりウィーン在住。3人の子どものバイリンガル育児の傍ら、三カ国語を駆使し、ネットショップオーナー兼ウィーンの歴史や文化を紹介するライターとして活躍中。『るるぶ』や『ララチッタ』などの旅行雑誌への情報提供や、海外旅行系ネットメディアへの連載執筆、ラジオ出演などを通し、オーストリア、ウィーンの広く深い魅力を紹介している