2022年10月、育児・介護休業法が改正され、「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度がスタートしました。かつての「ママのワンオペ」が当たり前のように見られた時代から、少しずつですが、着実に「パパが主体的に育児する」時代へと歩みを進めています。

また、コロナ下で働き方も見直され、それぞれの家庭が自分たちに合った家族のあり方を追求するようになりました。そんな多様化するパパやその家族の今に迫る本連載。今回は、子育てと、自身の仕事、そして妻と一緒に立ち上げた新事業の3つに取り組む渡邊優太さんの共働きパパライフに迫ります。

■今回のパパ
渡邊優太さん 33歳 
会社員(サイカ 開発本部プロダクトマネージャー)

■家族構成
妻 31歳 個人事業主
長男 1歳5カ月

「将来何になりたい?」と聞かれるのが嫌だった

 兵庫県の共働き家庭の長男として生まれた渡邊さん。小学生時代、聞かれてとても嫌だった質問があったそうです。

 「子どもの頃、いろいろな大人から『将来、何になりたい?』と聞かれるのが本当に嫌でした。やりたいことがあっても自分から言えるタイプではなかったし、そもそも将来なりたいものも明確になかったので。その後も特にやりたいことは見つからず、とりあえず手に職をつけようと高専、そして高専専攻科に進学。機械工学を学びましたが、その道に進みたいとまでは思えず、漠然と就職することへの不安もあって、卒業後就職することなく大阪大学大学院の工学研究科に進みました」

 そんな渡邊さんでしたが、就活のタイミングを迎えると、自分の人生に大きな影響を与えることになる2人と出会い、目指す将来像が明確になっていきました。

 1人はベンチャー企業の経営者。当時はまだ20代で、自分とさほど年が変わらないのに確固たる自分の考えを持っていて、クレバーな思考力と行動力を併せ持っているところに衝撃を受けました。同級生の多くが大企業の入社試験に臨む中、渡邊さんはベンチャー企業に就職しようと動き始めます。

 もう1人は、インターン先で出会った今の妻。仕事に対する誠実さや、自己実現や成長に貪欲なところに共感し、交際に発展しました。

 就職先は20~30代の若手中心のベンチャー企業ということもあり、刺激的で充実した毎日を送ります。会社を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、先が見えない非連続的な環境に身を置くことで自分自身も成長できていることを実感。「変化」に対して、より肯定的な気持ちを抱くようになったそうです。

 一方で、なかなかうまくいかないことも多々ありました。その一つが、当時付き合っていた彼女(現在の妻)との関係性でした。