2022年4月、育児・介護休業法が改正され、男性育休がより取得されやすくなりました。かつての「ママのワンオペ」が当たり前のように見られた時代から、少しずつですが、着実に「パパが主体的に育児する」時代へと歩みを進めています。

新型コロナウイルス下で働き方も見直され、それぞれの家庭が自分たちに合った家族のあり方を追求するようになりました。そんな多様化するパパやその家族の今に迫る本連載。今回は、仕事と家庭を両立させながら自身の夢である海外生活を実現するためにチャレンジを続ける、小笠原健さんのパパライフに迫ります。

■今回のパパ
小笠原 健さん(仮名) 30歳
会社員(大手鉄鋼メーカー)

■家族構成
妻 29歳 薬剤師
長女 4カ月
写真はイメージ
写真はイメージ

ボーイスカウトで運営側に立つようになったことが転機に

 銀行員の父親と専業主婦の母親の間に生まれた小笠原さん。幼い頃から面白そうなこと、楽しそうなことが大好きだったものの、やや引っ込み思案なところがあって行動にはなかなか移せないタイプだったとか。しかし、中学生になり、入っていたボーイスカウトで運営側に立つようになったことが転機になります。

 「年上の高校生メンバーと一緒に、小学生の子どもたちに楽しんでもらえる企画を考えて、実行する側になったことは大きな経験になりました。自分たちがやりたいことを実現できる裁量を持たせてくれたのがありがたかったです。上下関係も厳しくなく、年齢、学年が異なる人たちと協力して進めていけたことが今も生きていると思います」

 大学生になった小笠原さんは、結婚前は英語の先生だった母親の影響もあって英国の大学に1年間留学します。そこでまたカルチャーショックを受けました。

 「英国人8人と中国人1人と同じ家で暮らしていたのですが、周りのアバウトさに衝撃を受けました(笑)。でも、それ以上に刺激を受けたのは世界中からきた他の留学生たちの姿です。年齢も国籍もさまざまなのですが、それぞれがしっかりと自分の考えを持って生きていました。日本では、なんとなく周りと同じように高校へ行き、大学受験をする人が多いと感じていたので、自分ももっと自分の頭で考えて、やりたいことをどんどん実現させていこうと思いました」

 そして帰国後、小笠原さんはさっそく動き出します。自身が英国で現地の人とうまく交流できず、もどかしい思いをした経験から、留学生が日本になじむチャンスをつくろうと考え、留学生に「よさこい踊り」を教えるサークルを立ち上げたのです。

 日本語学校に電話をかけまくったり、道ばたにいる留学生らしき外国人にひたすら声をかけたりして参加者を集めた小笠原さん。日本側の運営メンバーも同時に探していたのですが、京都で小笠原さん自身が熱心に勧誘し、サークルに入ったのが今の妻だったそうです。サークルの運営リーダーとして頼れる存在になったしっかり者の妻は、小笠原さんとやりたいことの方向性や波長が合ったことから交際に発展しました。