昨年、育児・介護休業法の改正法が成立し、パパが男性育休をより取得しやすくなりました。かつての「ママのワンオペ」が当たり前のように見られた時代から、少しずつですが、着実に「パパが主体的に育児する」時代へと歩みを進めています。

コロナ下で働き方も見直され、それぞれの家庭が自分たちに合った家族の在り方を追求するようになりました。そんな多様化するパパやその家族の今に迫る本連載。今回は、フリーの経営コンサルタントとして企業のダイバーシティマネジメント(人材の多様性を重視した経営)などをサポートしている後藤大平さんの、かつての職場で受けた「パタハラ」と、世代間の意識の違いに思い悩んだ経験についてご紹介します。

■今回のパパ
後藤大平さん 42歳
フリーの経営コンサルタント

■家族構成
妻 39歳 公務員
長女10歳 次女6歳

休みがないほどの激務も「そんなものだろう」と受け止めていた

 2008年、予備校で講師として勤めていた後藤さんは友人の紹介で知り合った妻と結婚しました。故郷の秋田を離れ、妻の地元の岩手に移住。会社には岩手への異動願を出して、自ら転勤する道を選びました。

 それまでの実績が評価されていたこともあってすんなり希望は通りました。それどころか、今まで通り講師をしながら赴任先の事業所長として管理職に抜てきされたのです。

 「当時はとにかく忙しかったですね。定時は14時から22時だったのですが、実際は朝9時に出勤して、22時に職場を出られればいいほうという感じでした。特に夏休みと冬休み、受験前シーズンは休んだ覚えがないほど。でも、特に違和感は覚えていなかったです。仕事が好きで楽しかったこともありますが、『そんなものだろう』くらいに思っていました」

 しかし、2011年、第1子が生まれたことで状況が変わります。長女は体が弱く、乳児期は頻繁に体調を崩していたのですが、ワンオペで世話をしていた妻までダウン。そんな状況でも自分は激務で家のことを何もできないことに危機感を覚えました。

 そこで後藤さんは育休取得を決意したのですが、それがことの発端でした。