今後管理職になる人は、リモートワークでのマネジメントを経験することもあるでしょう。宮崎県に本社を置き、創業以来6年間、700人のほぼ全メンバーがリモートで働く人材会社、キャスター。同社取締役COOの石倉秀明さんに、企業がリモートワークを活用するメリットなどを聞いた上編に続き、下編は、リモートワークにおける管理職の心構えなどを聞きました。

【上編】 「ほぼ全員リモート」企業 採用や経営コストにメリット
【下編】 リモートワークは「違う競技」管理職は柔軟性を ←今回はココ

スポーツに例えるとサッカーとフットサルのようなもの

日経DUAL編集部(以下、――) 石倉さんは前職では対面、現職ではリモートワークでのマネジメントを経験しています。対面とリモートで、マネジメントの手法に違いはありますか。

石倉さん(以下、敬称略) リモートワークとオフィスワークは、スポーツに例えるとサッカーとフットサルのようなものです。基本のスキルは一緒ですが、ルールが少し違うということです。ドリブルやシュート、パスの力、つまり仕事に責任を持つ、納期を守る、不明な点は早めに問い合わせて解決するなど、業務遂行に必要な能力は共通しています。

 一方、同僚の姿が見えるか見えないか、連絡方法が口頭かテキストか、といった「ルール」は違います。そういう意味では、対面のマネジメントを丸ごとリモートワークにも適用できるわけではありません。リモートワークと対面での仕事を「違う競技」と捉え、ルールを受け入れる柔軟性が求められます

―― リモートワークでのマネジメントと、対面でのマネジメント、どちらが難しいでしょうか。

石倉 たとえオフィスにいても外出や会議があり、部下一人ひとりの仕事ぶりを常時見ているわけではないでしょう。部下をまとめる際の難易度は、オンラインでも対面でも変わらないと思います。

 そもそも好き嫌いや相性、価値観の違いなどを超えて人を評価すること自体、いかなる場面でも難しいのです。管理職は明確な目標を部下に示し、人格とパフォーマンスを切り離して、その人の出した成果を評価するのが仕事です。こうしたスキルを持たない人を、勤続年数に応じて漫然と管理職に昇進させていたとすれば、その企業は構造そのものを改める必要があります。

―― リモートワークでのやり取りだけで、上司と部下が信頼関係を築けるものでしょうか。

写真はイメージです
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