コロナ禍を機に、日本でもリモートワークが本格化しました。在宅勤務のメリットを実感する人がいる一方、マネジメント層は採用や人事管理、評価など多くの面で不安や課題を抱えています。宮崎県に本社を置く人材会社キャスターは、創業以来6年間、700人のメンバーのほぼ全員がリモートで働いています。取締役COOの石倉秀明さんに、企業がリモートワークを活用するメリットや、社内のコミュニケーションを円滑に進めるためのポイントなどを聞きました。

【上編】 「ほぼ全員リモート」企業 採用や経営コストにメリット ←今回はココ
【下編】 リモートワークは「違う競技」 管理職は柔軟性を

給与は「東京水準」 優秀な人材集まりやすい

日経DUAL編集部(以下、――) リモートワークが企業にもたらすメリットを教えてください。

石倉さん(以下、敬称略):企業の立地に関係なく、優秀な人材を確保できることです。東京のオフィスで働くことが前提条件だと、通勤圏に住む人の中からしか人材を採用できません。首都圏は企業が集中しているので、採用競争も激しくなってしまいます。リモート勤務なら、極端に言えば世界中から人を採用できて、採用の候補となる人のパイが広がります。結果として当社では、現在世界16カ国、国内46都道府県のメンバーが働いています。

 また給与は東京の水準に合わせているので、地方の人材を採用する場合、待遇面で有利になり、優秀な人材も集まりやすくなります。当社の部門長クラスの人は北海道や名古屋、宮崎、長野などに住んでおり、東京近郊に住む人の割合は多くはありません。

 ただ、リモート勤務が広がると、一部の地方企業にとっては厳しい時代が来るかもしれません。東京だけでなく全国の企業とも人材を奪い合うことになり、地元の給与水準では人材確保が難しくなります。賃金を引き上げられないなら、仕事のやりがいや働き方の面で、優位性を出す必要があるでしょう。全国で勝ち残る企業と、地元の限られたリソースで活動する企業に、二極化するのではないでしょうか。

―― オフィスワークの中で、対面のほうが向く仕事はありますか?

石倉:対面であることが必要な職種もあることは理解していますが、オフィスワークに関しては、「リアルでなければできない」業務は特に思いつきませんね。採用面接や社内の面談もリモートで行っていますが、支障は感じません。

キャスター取締役COOの石倉秀明さん
キャスター取締役COOの石倉秀明さん

 リモート勤務が前提だと、通勤の交通費もオフィスの家賃も抑えられ、経営コストが非常に安くすみます。採用に関しても、費用をかけずにさまざまな場所から、優秀な人を迅速に受け入れることができます。当社に関しては、経営の足かせがすべて解消された形で、ことさらに対面を取り入れる理由はありません。

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  • 管理職の不安がリモートワーク導入の壁に
  • 「リモート=孤独」は的外れ 対面同様、雑談も必要

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