オリンピック・パラリンピックで選手たちが世界の頂点を目指し競技する姿の裏には、どのような努力や、幼い頃からの親のサポートがあるのでしょう。今回は、日本オリンピック委員会が管轄するJOCエリートアカデミーに所属し、これから世界での活躍が期待されるボートの選手、高校2年生の瀬川咲新(さにい)さんの両親、瀬川幸治さんと瀬川さおりさんに話を聞きました。

小学生から、いくつもの習い事を同時進行してきた

兄の入っていたサッカー教室でプレーする、6歳の頃の咲新(さにい)さん
兄の入っていたサッカー教室でプレーする、6歳の頃の咲新(さにい)さん

 もし、子どもが「今の習い事をやめて、別の習い事がしたい」と言い出したらどうしますか?「もう少し続けていれば、楽しさに目覚めるかもしれない」と考え説得するか、子どもの希望通りにさせてあげるか。親として不安なのは、「なんでも中途半端に投げ出す子になったらどうしよう?」ということかもしれません。

 福岡県で育った瀬川さんは、幼い頃から、明るく好奇心旺盛で、気になるスポーツはなんでも「やってみたい!」と興味を持つ子どもでした。幼稚園のときに4つ上の兄が入っていたサッカー教室に通い始めて以来、小学校を卒業するまで、スイミング、チアダンス、バレーボールと、次々に新たなスポーツに挑戦してきました。

 「したいということはできる限りなんでもさせてきました」と語る両親。本人の意思を尊重する姿勢は、幼少の頃から一貫しています。

 「本当はもっといろいろなことをしたいと言っていましたが、すべてはできないので、本人に選ばせてきました。ピアノをやってみたいと言っていた時期もあって、『じゃあ、いつなら通えそうかな?』といった具合に。自分でスケジュールを考えさせ、どうすればいいのかを消去法で考えさせた結果、ピアノじゃなくてスイミングに行くことに決めました」(さおりさん)