娘が能力を発揮できる環境を用意した

10歳で出場したチアダンスの全国大会(2014年11月)
10歳で出場したチアダンスの全国大会(2014年11月)

 当時から、運動能力は群を抜いており、体力テストはすべてAランク。コーチや周囲のアドバイスを真摯に受け止め、努力できる素直な性格も相まって、ぐんぐん頭角を現し、チアダンスでは全国大会出場、バレーボールの強化選手としても活躍しました。

 小学5年生になると、県内でも特に運動能力の高い子どもが集まり、世界に通用するアスリートを育成する県の事業「福岡県タレント発掘事業」に参加。きっかけは、さおりさんが、「学校で希望者を募るチラシをもらっていて、ここなら娘が遺憾なく本領を発揮できるのではないか?」と考えたことでした。

 その後は、およそ800倍もの倍率である狭き門を突破し、タレント発掘事業を受講。バスケットボールやバレーボールなどの定番スポーツ以外にも、水球、射撃といったマイナー競技も経験し、中学校入学前の春休みに「ボート」に出合います。

「オリンピックに出場したい」と、陸上からボートへ転向

新型コロナウイルスによる自粛明け、実家に戻ってきてトレーニングをする咲新さん
新型コロナウイルスによる自粛明け、実家に戻ってきてトレーニングをする咲新さん

 ボートとの出合いについて、「水の上をスーッと進む感じが新鮮だった」と語る咲新さん。ボート競技は前後にスライドする座席に座り、オールを動かして後ろ向きに進みます。水上の直線コースで脚力を使いボートを加速させる、スピード感が魅力。

 とはいえ、咲新さんがボート一本に絞ったのはもっと先のことです。当時は、スポーツの名門として知られる私立の中高一貫校に入学したばかり。陸上部では、県大会の100mや200mで優勝するなど、着実に実績を残していました。