オリンピック・パラリンピックで選手たちが世界の頂点を目指し競技する姿の裏には、どのような努力や親のサポートがあるのでしょう。この連載では、未来のオリパラ選手や選手の親などへのインタビューを通して、スポーツによって得られる子どもの学びや成長、親の在り方などを紹介します。

国家プロジェクトとして行われる、トップ選手発掘事業とは?

写真はイメージ
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 勝負を前にした選手のすさまじい集中力、試合本番で繰り広げられるドラマ——オリンピックやパラリンピックで見せる選手たちの姿に、心を動かされたことがありませんか。特に、若くして活躍するアスリートを見ると、「どんな家庭環境で育ったのだろう」「親はどうサポートを?」といった点が、親としては気になります

 話を伺ったのは、日本スポーツ協会 国体推進部競技支援課の品治恵子さん。2017年にスタートした「J-STARプロジェクト(正式名称 ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト)」で、将来オリンピック・パラリンピックの出場を狙える有望選手を発掘する事業を手掛けています。

 国の事業として運営されるJ-STARプロジェクトでは、選考を通過した選手に、世界レベルの指導者からトレーニングを受けるチャンスを提供しています。オリンピック競技は12歳~17歳(中・高校生)、パラリンピック競技は12歳(中学生)以上であればエントリーが可能。およそ10カ月間J-STARのプログラムを受け、そこで将来性を認められた選手たちは、さらに各競技団体の強化・育成コースへと進みます。

 「オリパラを狙う有望選手」と聞くと、先天的に身体能力に恵まれたスポーツのエリート集団を想像するかもしれません。しかし実際には、「選考を通過した子どもたちも、最初は全国から知らない子が集まってくるからか、どこかおどおどしている感じがする」と品治さんは話します。そんないわゆる「普通の子たち」が、プログラムを経て驚くほど成長していくのだそうです。

 「共にトレーニングを受ける仲間と切磋琢磨(せっさたくま)する中で、選手たちは目に見えて積極的になります。修了式では、一皮も二皮もむけていますね。修了式で挨拶をした選手の親御さんは、『うちの子が、こんなに堂々と人前で話せるようになるなんて』と感激していました」