適性見極め、子どもの新たな可能性を引き出す

車いすフェンシング競技測定の様子(写真提供:日本スポーツ協会)
車いすフェンシング競技測定の様子(写真提供:日本スポーツ協会)

 トップ選手は、幼い頃から1つの競技に絞って練習してきたように思われますが、実際には、複数のスポーツや文化系の習い事を掛け持ちしていたり、途中で競技を転向して世界で活躍するようになったりする選手も多くいます。例えば、リオオリンピックで銀メダルを獲得した男子400mリレーでは、日本チームの4人中3人が小学生の頃にサッカーをしていました。

 J-STARプロジェクトでは、これまで取り組んできた競技から新しい競技への転向を支援する「種目最適(転向)型」を採用しています。選考では、体力測定を行ったり新しい競技を体験させたりして適性のある競技種目を分析し、本人の意思を踏まえて、その子に最適な競技を決めていきます。

 「参加者の多くが、『なんとかこの子の能力を伸ばせる場所がないか』という思いで応募してくださっています。例えば、ある競技で代表選手に選ばれなかったら、これまでの努力が水の泡になってしまうように思うかもしれません。しかし、代表の候補になっただけでも、その子のポテンシャルはかなり高いはず。プロの目で適性を見極め、別の競技にチャレンジすることでトップ選手を狙える可能性があると、新しい道を提示しているのです

 過去のオリンピック・パラリンピックで、7人制ラグビー(女子)、ボート、水泳の飛び込みといった競技を見たときに、「いつどこでこうしたスポーツと出合ったのだろう?」と思ったことはないでしょうか。柔道やサッカーには幼い頃から親しんでいても、こうした競技にはなかなか出合う機会がありません。競技人口が少ない種目に転向するのは、選手の可能性を広げることにもつながるのです。

 「1期生・2期生には、新しい競技に転向して国際大会で結果を残すなど頭角を現している選手も少なからずいます」