子どもたちがバラエティー番組の「ひな壇」タレントのように自由にトークを展開する「MC型授業」や、掃除の時間に曲を流し、サビでダンスを踊る「ダンシング掃除」など、斬新な授業が話題の東京学芸大学附属世田谷小学校の沼田晶弘先生。「ぬまっち」の愛称で知られ、著書やメディアで、そのユニークな授業や子どもの自主性を引き出すコツを発信しています。この連載では、親が気になることや家庭教育へのアドバイスを聞いていきます。今回のテーマは子どものトーク力。親子で挑戦できるトーク力アップの取り組みも紹介します(DUAL特選シリーズ/2021年9月22日収録記事)。

【プロローグ】新連載読みどころ/ぬまっち先生 子の自立心育てる授業
【1回目】ぬまっち先生 笑顔の練習で「ほめられスキル」伸ばす
【2回目】ぬまっち先生 子とのフラットな関係で学びが広がる
【3回目】畑や海外とつながる醍醐味 ICT教育で広がる世界
【4回目】小4が1人ですし店へ お金の価値を知るキラキラ体験
【5回目】ぬまっち先生 子のトーク力を磨く「親子記者会見」 ←今回はココ

子どもの話が広がるかどうかは親の聞き方次第

 皆さん、こんにちは。ぬまっちこと沼田晶弘です。今回は子どものトーク力を磨くにはどうしたらよいかをお話しします。トーク力といってもタレントのように人を笑わせるような話術ということではありません。自分の思いを確実に伝える力ということです。

 保護者の皆さんの悩みに、学校であったことを子どもが話してくれないというものがあります。「きょう学校どうだった?」と聞いても「ふつう」「べつに」ばかり。お母さん、お父さんは「うちの子は話す力が未熟なのではないか、表現力がないのでは」と思うかもしれませんね。でもご心配なく。これは子どものせいではありません。聞き方を変えれば解決する問題です。

 だって、もし自分が聞かれる側だったらと考えてみてください。「きょう、会社どうだった?」と夫から毎日のように聞かれても、そんなに毎日キラキラしてないよ、と思いながら「別に普通だったよ」と答えるのではないでしょうか。子どもだって同じです。

 ここは聞き方にコツがあります。イエスかノーでは答えられない具体的な質問をしてあげること。例えば、「きょうは体育の授業があったけど何をやったの?」と聞くと、子どもは具体的に答えたくなります。そこから話を広げていくと、子どもが自分の意見を話す練習になります

 日ごろの会話でも同様です。緊急事態宣言のニュースがあったときに、子どもに「緊急事態宣言が明けたらどうなると思う?」と聞いても、子どもは具体的にイメージできないので「分からない」としか言いません。

 しかしここで「緊急事態宣言が解除されたらレストランに人が増えると思う? どのレストランが増えるかな」と聞けば、子どもは知っていることを答えます。さらに「どうしてそう思うの?」「レジャー施設だったらどうかな」と質問を重ねていくと、子どもが自分の意見を話す機会になります。これがトーク力を磨く上で大事です。