わが子にはこんなふうに育ってほしいという理想の一つに自立心のある子という姿がありませんか? 親が言わなくても宿題を始め、明日の支度をしてほしい。将来は自分のやりたいことに向かって進んでいってほしい。そんな子に育てるには、親はどんな関わり方をしたらよいのでしょうか。

 そこで、4月からの新連載では、東京学芸大学附属世田谷小学校の沼田晶弘さんに、自立心のある子の育て方を聞いていきます。

 「ぬまっち」の愛称で子どもたちに慕われている沼田さんは、限られた時間で掃除を終わらせるために音楽をかけてサビでダンスをする「ダンシング掃除」などでメディアで話題に。授業スタイルもユニークです。子どもたちがバラエティー番組の「ひな壇」タレントのように自由にトークを展開し、沼田さんはMCとしてその言葉を拾って授業を進めていきます。その「MC型授業」はまさにアクティブラーニングの実践として注目されています。

 楽しそうな授業の中に、沼田さんは子どものやる気を引き出すさまざまな工夫を凝らしているのだそう。「その工夫によって好奇心に火が付いた子どもは、授業や学校生活の中で成長しようとする瞬間を見せます。その瞬間をとらえ、大人が少し手助けすることで、子どもは勝手に伸びていくのです」と沼田さんは話します。

 子どもが進んで学び、成長していく工夫、手助けとはどのようなものなのでしょうか。連載では、これからの社会で必要なフラットな人間関係の作り方、コミュニケーションスキル、ICT、グローバル時代のキャリア教育などをテーマに、沼田さんの取り組み方を聞き、自立心のある子を育てるヒントを探っていきます。どうぞご期待ください。

沼田晶弘さん。2021年3月までは4年生を担任。東京学芸大学附属世田谷小学校では5年進級時にクラス替えがあり、担任も代わるので、4月からは新たなクラスを担当する
沼田晶弘さん。2021年3月までは4年生を担任。東京学芸大学附属世田谷小学校では5年進級時にクラス替えがあり、担任も代わるので、4月からは新たなクラスを担当する

取材・文/福本千秋(日経DUAL編集部) 撮影/花井智子