ボードゲームやカードゲームで遊びながら、子どもの多様な力を育みたい――。この連載では、「ボードゲームを使って学ぶ」をコンセプトに、ボードゲームやカードゲームに取り組む習い事「サイコロ塾」を主宰する財津康輔さんが、遊ぶことでどのような力を育めるのかを解説。今回は、未就学児が遊べるゲームを中心に「手指の巧緻性(器用さ)」と「想像力・表現力」を育む、財津さんのお薦めゲームを紹介します。

<財津康輔 遊びながら思考力アップ ボードゲーム事始め>ラインアップ
【プロローグ】 ボードゲーム&カードゲームで育まれる力とは?
【1回目】教育効果が期待できるボードゲーム 子に手加減は必要?
【2回目】ボードゲーム 推論し論理的に考える力なぜ育める?
【3回目】ボードゲームで「ルールとは何か」を体感 生き抜く力に
【4回目】器用さ・想像力・表現力養う幼児OKのボードゲーム←今回はココ

※以下、この記事における「ボードゲーム」はカードゲームも含めたアナログゲーム全般のことを指します。

自分の手で触れながら遊ぶことのメリット

 「サイコロ塾」では主に小学生を対象としている財津康輔さん。小さな子には難しいイメージのあるボードゲームですが、「ボードゲームには未就学児のうちから楽しめるものも数多くある」と財津さんは言います。

 「幼児は目に見えているものを実際に手で触れてみる体験を通じて物事を理解していきます。そのため、幼児期には、具体物(実物)を触ってみる、自分で実際に動かしてみるといった経験をすることが重要です」。具体的な体験を通じてさまざまな力を伸ばしてあげたい幼児期にボードゲームで遊ぶことは多様なメリットがあると財津さんはアドバイスします。

 「デジタルゲームと異なり、カードやコマ、サイコロなどの物に触れながら遊ぶボードゲームは、“手ざわり感”を伴う経験ができ、実物を扱う中で手指の巧緻性(器用さ)を高められるというメリットがあります。

 絵本を通じて物語に親しんでいることが多いのも、この年代の子どもたちの特徴です。ストーリー性のあるゲームで遊ぶことで、想像力を働かせることもできます。また、皆の前で自分の考えを発表するタイプのゲームでは、想像したことを言葉や態度で伝える表現力も養えます

 今回は、未就学児がボードゲームを通じて身に付けることができる「手指の巧緻性」と「想像力・表現力」について詳しく聞いていきます。財津さんのお薦めゲームを紹介しながら、未就学児とボードゲームで遊ぶ際に親が心がけたいこと、声かけのポイントなどについて、次のページから詳しく説明します。