新2年生の男の子の母で、読み聞かせをライフワークにしているフリーアナウンサーの白崎あゆみさんによる4回連載。今回のテーマは、「小学校低学年の読み聞かせ」です。「小学生に上がったし、字も読めるようになったから、もう読み聞かせをしなくてもいい?」と思う人もいるかもしれませんが、知的好奇心が広がる時期だからこそ、読み聞かせが有効と白崎さんは指摘します。

読み聞かせ、卒業のタイミングは子どもが決める

 読み聞かせに関して、小学校低学年の子どもがいる親からよく聞かれるのは、「小学生になったのだから、もう親が本を読んであげなくてもいいですよね?」という質問です。

 その背景には、どうやらいろんな葛藤があるようです。

 「親が代わりに読むと、子どもの読む力を伸ばしてあげられないのでは?」と、子どもの成長のためにあえて控えている人。「小学生になったのだから、字が多い本を読んでほしいけど、そういう本を読み聞かせするのは親が大変」と選書でつまずいている人。「宿題のフォローだけで忙しくて、とても時間がありません」と余裕がなくなっている人……。

 かくいう私も、現在小学2年の子の母。昨年、息子が小学校に入学したときは、生活が一変して、あたふたしていたので、皆さんの葛藤はとてもよく理解できます。

 確かに、小学生になると、音読や読書カードの記入など、自分で本を読む宿題が出始めます。また、宿題を見てあげる時間だけではなく、日々持ち帰るプリントの確認、毎日の持ち物チェックなど、未就学児よりも手がかかる!と嘆きたくなるときもあるでしょう。

 今までは親が代わりにやればよかったけれど、小学生になると自分でやるように促すのが親の役目。いわゆる伴走者にならないといけない苦労があります。慣れない生活で、親も子どももてんてこ舞いになり、その結果、読み聞かせをやめてしまう人は少なくないようなのです。

写真はイメージ
写真はイメージ

 ただ、これまでの連載でお伝えしてきたように、読み聞かせは子どもの成長や個性を発見するいいきっかけになり、自己肯定感を高める手段にもなる、とても有意義な機会。また、親子の関係性向上にも役立ちます

 もし、お子さんが「これ読んで!」とお願いしてくるのであれば、それは、まだ読み聞かせを欲している証し。毎日読み聞かせをしなくてもいい。忙しかったら、たった5分でもいいので、今までのように「読み聞かせ」の習慣をストップしないでほしいのです。

 なぜなら、読み聞かせの卒業は、親ではなく子どもが決めるものだから。

 私自身、余裕がなくて断りたくなるときもあります。でも、そんなときに自分に言い聞かせているのは、「抱っこと一緒!」というフレーズです。そう、読み聞かせは、抱っこのようなものなのです。

 きっと、皆さんもお子さんに「抱っこ、抱っこ」とせがまれていた時期は、「重いから大変」「早く降りてくれないかな」と思っていたのではないでしょうか。でも、それも過ぎ去ってしまえば、懐かしい思い出になっていませんか?

 考えてみれば、子育ては「卒業」の連続です。ふと気がついたら、抱っこと言ってこなくなった。膝に乗ってこなくなった。親を探さなくなった。一人で食べられるようになった。そうやって子どもは巣立っていくのでしょう。

 読み聞かせも同じだと思うんです。きっと、そのうち「読んで!」とは言わなくなる。であれば、「読んで!」とお願いされるうちが華。だから、私は断る前に「今日が最後かもしれないぞ!」と思って、できる限り、応えるようにしています。