新2年生の男の子の母で、読み聞かせをライフワークにしているフリーアナウンサーの白崎あゆみさんによる4回連載。読み聞かせの知られざる魅力や、読み聞かせがもっと楽しくなるプロのアドバイス&テクニックをお伝えしていきます。

読み聞かせ通じて感じた子どもの成長を本人にも伝えて

 こんなことありませんか? 子どもに本を読み聞かせしている時、「ちがうよ、この行をまだ読んでないよ」など、親が読み飛ばしてしまったところを指摘してきたり、「あ、この絵、この前見た○○とそっくりだねー」などと言ってきたり。実は、こういう反応の中に、子どもの成長をつぶさに見ることができます。

 同じ絵本を何度も読んでいると、特にその成長ぶりがよく分かります。

 例えば、『ブレーメンの音楽隊』の絵本を前に親子で向かい合った場合。絵本に出てくる動物や楽器を指さしながら、その名前を口にするくらいだった子どもが、だんだん大きくなってくると、「これ、どこの国?」「いつごろの話だっけ?」「これって、本当のお話じゃないんだよね、作り話だよね」といった質問や感想を伝えてきたりするようになります。この反応の変化に目を向けると、子どもの中で知識や経験がいかに積み上がり、時間軸が作られ、世界が広がりつつあるか見えてくるはずです

 親にとって、子どもの成長は大きな喜びですが、子どもにとっても自分自身の成長はうれしいもの。ですから私は、「この間読めなかったひらがなを読めたんだね」「日本の話ではないって、気づいたんだね」などと、自分の息子に、読み聞かせを通じて感じた子どもの成長を、意識して言葉にし、伝えるようにしてきました。そうした言葉を聞くと、息子は少し照れながらも、満足そうな顔を浮かべます。その表情は、息子の中で自己肯定感が一段と高まった証しだと私は考えています。

読み聞かせをライフワークにしている、フリーアナウンサーの白崎あゆみさん
読み聞かせをライフワークにしている、フリーアナウンサーの白崎あゆみさん

 繰り返しになりますが、人間はもともと「成長欲求」を備えています。自分が成長した喜びを、大好きなパパやママに認めてもらい、ほめてもらえることは大きな喜びにつながります。皆さんもぜひ、読み聞かせによる親子のコミュニケーションを通じて、お子さんの成長を認め、たっぷりほめてあげてください。