日常生活がより一層豊かに彩られる

2つ目:「登場人物の気持ちについて考える」

 ある日、「この子は、この時、どんな気持ちになったと思う?」と、息子に質問を投げかけてみたら、「きっと、仲間外れにされて悲しかったんだと思うよ」と自分の考えをサッと答えて驚いたことがありました。半年前に同じ質問をした時は、「悲しいと思う」だけだったのが、具体性が大きく増していたのですから、その成長ぶりにうれしく思ったものです。

 私は、主人公の気持ちについて質問することが多いのですが、元演劇部の私の夫は、「主人公のお母さんは、なぜこんなことを言ったのかな」など、主人公以外の登場人物に注目して質問をすることが多いようです。「脇役視点」でその絵本の世界をとらえ直す習慣が付けば、子どもの視野が、さらに大きく広がっていきます。今後ますます、社会の多様化が進んでいくなか、様々な立ち位置の登場人物に着目し、その考え方に思いを巡らすことは、多様性への理解や共感力を育む、いい機会にもなるはずです。

3つ目:「絵本の世界と現実の世界をつなげる」

 絵本の楽しさを読み聞かせの時間だけにとどめておくのはもったいない。ぜひ、絵本の世界と現実の世界を、積極的につなげるようにしてみてください。例えば、子どもが『おつきさま こんばんは』という絵本が大好きで、よく読み聞かせをしている場合は、子どもと一緒に夜空を見上げて、絵本と同じように月にいろいろ話しかけてみる、といったイメージです。絵本の内容に対する子どもの理解も深まりますし、日常生活がより一層豊かに彩られていくはずです。

 余談ですが、読み聞かせは、親が異性の子どもと遊ぶうえでも手軽な手段になります。特に「娘とどう遊んだらいいのか分からない」と悩んでいる女の子のパパにはおすすめです。ママとは違う表現で、パパらしい読み聞かせに挑戦してみてはいかがでしょうか。

イメージカット
イメージカット

取材・文/児玉真悠子 写真/遠藤素子 イメージ写真/PIXTA


白崎あゆみ
白崎あゆみ 1981年生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒、アビームコンサルティングを経て北陸放送でアナウンサーとして10年勤務。出産後はコーチングに転向。TCS認定プロフェッショナルコーチ、マザーズコーチングスクール認定トレーナーの資格を取り、コーチングセッションや、保育園・幼稚園向けのナーサリーコーチングなどを行うほか、企業のリーダー研修やキャリアデザイン研修などの講師としても活躍。金沢市在住。