「子どもは自分とは別の人間である」ことが確認できる

 同様に、読み聞かせは、子どもの意外な一面を知り、自分とは違う、独立した一人の人間だということを確認できる、いいきっかけにもなります。

 「自分が子どもの頃に大好きだった本を買ったのに、読んであげてもわが子がぜんぜん興味を示さなくて…」とへこんでいるママがいました。でも、それって良い気づきだと思うんです。読み聞かせを通じて、子どもと自分が違う性格だと知ることができたのですから。同じ絵本を読んでも、着目するポイントや感想も自分とは異なるはず。そうした気づきは、親子の関係を間違いなく良いものにしてくれるはずです。

 「子どもの日本語力を上げたいから」「本好きに育てたいから」といった現実的な理由からだけではなく、純粋にわが子をよりよく理解し、親子の絆を深める手段として読み聞かせに取り組んでみてはいかがでしょうか。

読み聞かせがもっと楽しくなる3つの工夫

 こんな具合に、読み聞かせは、子どもの成長や個性を発見するいいきっかけになり、自己肯定感を高める手段にもなる…という具合にいいことずくめなのですが、人によっては、読み聞かせが苦手で、あまり前向きに取り組めない、という方もいるかもしれません。そんな方々に向け、わが家で実践している、読み聞かせがもっと楽しく意義のある時間になる3つの工夫をお伝えします。

1つ目:「子どもと交代で読む」

 読み聞かせは、何も親が一方的に読むだけではありません。子どもがひらがなやカタカナが読めるようになってきたら、たとえば、1行ずつ、1ページずつ、あるいは登場人物ごとに、子どもと交互で読み合う、というのも楽しいですよ。

 親が登場人物になり切り、声色を変えて読むなど表現を工夫する姿勢を見せれば、子どもも同じように、工夫しながら読むようになります。日本では、海外の小学校のように演劇の授業が行われず、子どもが表現力を磨く機会が少ないので、そういう意味でも、親子で読み合うことはおすすめです。