2人目が欲しいけれど、なかなかできない。こんな悩みを抱えていませんか? 本連載では、不妊ピア・カウンセラーの池田麻里奈さんから2人目不妊に悩む方へ、メッセージをお届けしています。今回と次回は、第1子を実子で授かり、第2子を特別養子縁組で迎えた岸本ケンイチさん・ユウコさん夫婦をゲストに迎え、「第2子に養子を迎えること」について話していきます。

【上編】次女は養子 「ママは産まないの?」と聞かなかった長女 ←今回はココ
【下編】「よく泣くのは養子だから?」 我に返った先輩の言葉

【「2人目不妊がしんどい」働くママ&パパへのメッセージ】これまでのラインアップ
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 特別養子縁組で子どもを迎えるには、居住地の児童相談所を介するケースと、民間の養子縁組あっせん事業者を介するケースがあります。どちらの場合も、登録して、養親になるために必要な研修や面談を受けた後に子どもを託されます。

 池田麻里奈さんは、民間のあるあっせん事業者から迎えた一人息子を育てています。今回ゲストとして迎えた岸本さん夫婦も、池田さんと同じ事業者から7年前に次女を迎え入れました。夫婦は次女を迎え入れてからまもなく、同じ事業者から子どもを迎えた養親同士の交流グループを立ち上げました。そのグループは養親が増えていくにつれて、枝分かれし、情報交換やつながりの場として発展しています。

 池田さんにとって岸本さん夫婦は「お子さんが大きくなった今も、後輩の養親や養子をリードしてくれている、頼れる存在」です。今回は、第2子を養子で迎えるまでの経緯や、子どもたちに養子と実子の違いがあることについてどう捉えているかなどを聞いてみたいという思いから、岸本さん夫婦との座談会が実現しました。

岸本さん夫婦
夫のケンイチさんは外資系金融企業でサイバーセキュリティーを担当。企業文化や時差の関係もあり、コロナ前からテレワーク中心で働いている。妻のユウコさんは保育士として公立保育園で働いた後、現在はフリーの保育士や性教育の講師として活動している。実子の長女は中学生。小学2年生の次女は生後26日で岸本家に迎え入れられた。

「行き場のない子がいるならわが家に」という思いが養親への一歩

池田麻里奈さん(以下、池田) お久しぶりです。私が長男を迎え入れてまもなくの頃、養親グループのピクニックで初めてお会いしましたね。新米養親の私たちを温かく迎えてくれたことが印象に残っています。その後、オンライン上の交流会ではお会いしていましたが、しっかりお話しするのは、コロナ下に突入してからは今回が初めてです。

 2人目不妊に悩んでいる方の多くは、第2子も実子を前提に考えていると思います。岸本さんご夫婦は、第1子を不妊治療で授かり、第2子を養子で迎えていますね。「血のつながり」へのこだわりはなかったのでしょうか

岸本ケンイチさん(以下、ケンイチ) 私たちは家族の絆は自分たちで作っていくものだと思っているので、血のつながりについては特に考えたことがありませんでした。実は私たちは、長女が生まれる前に、親戚の子どもと一緒に暮らしていたことがあります。長女が生まれてからも、数年間一緒に暮らしていました。

池田 親戚のお子さんを育てたのは、珍しいケースかもしれないですね。実子ではない子を育てることに不安はありませんでしたか?

岸本ユウコさん(以下、ユウコ) 「うちにおいでよ」と言い始めたのは、血のつながりがない夫だったんです。

ケンイチ 血のつながりがあろうがなかろうが、家庭の事情があるならうちに来ればいいんじゃない? というシンプルな気持ちからでした。

池田 お二人には「家族とはこうあるべきだ」という枠がないのかもしれませんね。その後、不妊治療を始められたのですね。

ユウコ はい。不妊治療を経て、長女を授かりました。

池田 2人目についても不妊治療はされたのですか。

ユウコ しませんでした。1人目のときに、働きながら不妊治療をするのがとても大変だったのです。2人目のときは仕事に加え、育児もしなければなりません。もう1回不妊治療をすることが、わが家にとっていいのかどうかを考える中で、それなら養子を迎えてもいいのかな、と思うようになりました

池田 それは、どのような流れから?

ユウコ その頃、熊本県の慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」が話題になっていました。私はその報道を目にして、とても胸が痛んだんです。子どもへの虐待に関するニュースもそうです。そういったニュースを見るたびに「困っている子、育つ場所を求めている子がいるなら、うちにおいでよ。私でよければどうぞ」。そんな気持ちになっていきました。

ケンイチ 同じ頃、東日本大震災があり、ニュースでは親を亡くしたお子さんがたくさんいることを報じていました。夫婦で「もし、行き場のない子がいるなら、養子に迎えるのもいいね」と話すようになりました。実際、問い合わせもしたのですが、手続き上の理由で、実現はしませんでした。

池田 社会的養護に関心があるというより、「私たちにできることがあるなら、うちにおいでよ」という、岸本さんご夫婦の心の中から湧いてくるような思いがあったのですね。そういう考え方はとてもすてきだと思います。その後、実際に第2子を養子で迎えるまでの流れについてはどんな感じだったのでしょうか?

次女が3カ月の時のお宮参り。長女は6歳。写真提供/岸本さん
次女が3カ月の時のお宮参り。長女は6歳。写真提供/岸本さん

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  • 赤ちゃんはママが産むかもしれないし、養子かもしれない
  • 祖父母世代からは不安の声もあったが
  • 生後26日の赤ちゃんを長女は大歓迎

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