2人目がほしいけれど、なかなかできない。こんな悩みを抱えていませんか? 本連載では2人目不妊に悩む多くのママ・パパをカウンセリングしてきた不妊ピア・カウンセラーの池田麻里奈さんに、気持ちの整理の仕方を聞いていきます。第2回は「危機的につらい」ときにどんなふうに対処したらよいか、その中でパパの役割の大切さについて聞きました。

【「2人目不妊がしんどい」働くママ&パパへのメッセージ】これまでのラインアップ
池田麻里奈 2人目不妊がしんどい 気持ちの整理法は?
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悲しいことを悲しむ時間が取れないのが2人目不妊のつらさ

 こんにちは。不妊・ピアカウンセラーの池田麻里奈です。今回は、2人目不妊でのパパの存在の大切さについてお話しします。ぜひ夫婦でお読みくださいね。

 不妊治療をしているとママが危機的につらいときがあります。流産・死産はもちろんですが、生理が来ることも、ママを追い詰めます。

 パパは「生理が来ることがそんなに?」と思うかもしれませんね。でも、排卵日に合わせてタイミングを取ったり、体外受精の移植といった不妊治療をしたりしているママは、妊娠への期待を重ねています。治療に耐えて1カ月を過ごし、生理が来るまで「赤ちゃんがおなかにいる」と思うこともあります。

 その結果、生理が来るとママは大きな喪失感を持ちます。不妊治療をしたけれど生理が来て、また新しい治療の周期を始めることを「リセット」といいますが、リセットを何度も繰り返すことは精神的なダメージが大きく、ママにとって「危機的なつらさ」になります

 2人目不妊のママは1人目の時より年齢が上がっている分、妊孕性は低くなり、代わりに流産する率は高くなっています。まだ周囲に報告していないくらいの初期に流産することも多いです。妊活していることを周囲に明かしていない人が多いため、赤ちゃんを失ったことは、ママとパパだけが知っている出来事になりがちです。

 リセットや流産は第1子に向けて治療している方にももちろんつらいものですが、2人目不妊でのしんどさは、ママに悲しむ時間がないことです。仕事はもちろん、目の前の子どもの育児があるので、何もなかったように日常を送らなければなりません。子どもやママ友、同僚に悲しんでいる顔を見せるわけにはいかないと、気丈にふるまうママも多いのではないでしょうか。

 そうして日々が過ぎると、夫婦の間でも終わったことになってしまい、改めて悲しむ機会をつくれないことが多いです。「もう1カ月たったから」「半年たったから」頑張って前を向いていかなければと思ってしまいます。するとママは悲しみを吐き出す機会がなく、意識せずとも気持ちにふたをして過ごしていきます。

 自分の気持ちを無視して過ごしていくと、あるときにわっと感情があふれてしまうことがあります。例えば、予定日だった日や流産から1年後に「去年のこの日だった」と思い出したり、身近な誰かが妊娠したりすることで引き起こされることが多いです。食欲不振や体調不良、うつっぽい、やる気がないなど心身に症状が出ることもあります。

 では、そんな危機的状況を避けるため、あるいは陥ってしまったとき、パパには何ができるのでしょうか。

不妊ピア・カウンセラーの池田麻里奈さん。特別養子縁組で迎えた3歳の息子を育てている
不妊ピア・カウンセラーの池田麻里奈さん。特別養子縁組で迎えた3歳の息子を育てている