コロナ禍の緊急経済対策である、1人当たり10万円の特別定額給付金。多くの自治体では8月が申請の締め切りとなっている。使い道は各家庭に委ねられているが、そこで悩むのが「子どもの10万円の使い方」。小学生なら子ども自身も、給付があることをニュースで耳にしているかもしれない。親の一存で決めるのか、子どもと話し合うのか。使い方に正解はあるのか。2回に分けてリポートする。

後編では、ファイナンシャルプランナーの前野彩さんに、有意義な使い方や管理のコツ、子どもとの話し合いの方法などについて聞いた。

(前編) 子の給付金10万円 社会に関心持つ契機にも
(後編) FPが解説 10万円給付金を有意義に使うには?←今回はココ

予算を立てれば「生きたお金の使い方」に

日経DUAL編集部(以下、――) 特別定額給付金は世帯主の口座に家族分まとめて振り込まれます。気を付けないと「生活費と一緒にいつの間にか使ってしまった」という事態も……。子どもの10万円、有意義に使うにはどうすればいいでしょうか?

前野彩さん(以下、前野) まず、子育て世帯には特別定額給付金だけではないんですよ。給付金とは別に、児童手当を受け取っている世帯を対象に「臨時特別給付金」として児童1人当たり1万円も振り込まれています※。こちらは申請不要で受け取れるため、意外と気づいていない人もいます。この使い道も併せて考えるといいですね。

 これらの給付金は家計への支援策ですから、生活費のために使ってももちろんいいのです。家庭によって事情は違いますから、使い道に正解はないと思います。子どもの学費の補填に使ってもいいし、家族旅行の資金や、子どもの将来のための貯金に回してもいいでしょう。住宅ローンの繰り上げ返済に使った人もいます。

 当面の生活費には困っていない、何かを購入したいという場合は、これらの給付金を「意識して使う」ということが大切です。何にいくら使うのかという「予算」を立てましょう。意識して使おうとするのと、何となく消えてしまったというのとでは満足度が変わります。何に使うのかを意識することで「生きたお金の使い方」になっていきます。

使い道は自由。予算を立てることで「生きたお金の使い方」に。画像はイメージ
使い道は自由。予算を立てることで「生きたお金の使い方」に。画像はイメージ

―― 何に使うとしても、まずは予算を立てるということですね。家族1人当たり10万円は大きなお金です。親はどのように関わり、管理をしていけばよいでしょうか。

※臨時特別給付金……新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯の生活を支援するため、児童手当を受給する世帯(0歳~中学生のいる世帯)に支給される。ただし所得制限を超えた特例給付世帯には支給されない(例えば共働きで子どもが2人いるなら、夫婦どちらかが年収917.8万円以上の場合は対象外)