寄付や投資で、困っている企業や団体を応援する道も

前野 とてもよいことだと思います。ただ、意味のある使い方をしないといけない、と気負い過ぎると、使ったときの罪悪感につながることも。収入が下がった人向けの給付金というわけではなく、皆さん、外出を自粛するなどコロナ対策に協力をしているわけですから、前向きに使いましょう。

 使い方に正解はなく、自由です。その上で、地域経済を回すために消費をするのもよいと思いますし、コロナ対応で大変な思いをしている医療機関などに寄付をするというのも一つの使い方です

コロナ対応などで大変な思いをしている医療機関などに寄付するという方法も。画像はイメージ
コロナ対応などで大変な思いをしている医療機関などに寄付するという方法も。画像はイメージ

―― 受験費用、ローン返済、子どもへのお小遣い、旅行費用、将来のための貯金、寄付……。他にはどんな使い方が考えられますか。

前野 1度に子どもに10万円を渡すのではなく、毎年1万円ずつボーナスとして10年間子どもに渡していく、という方法もあります。

 また、投資というのも一つの方法です。未成年の子どもが利用できるジュニアNISAを利用すれば、年間80万円までの投資ができます。買った株式や投資信託が値上がりしたり、配当金や分配金を受け取ったりしても、最長5年間は運用益に税金がかかりません。新規口座開設は2023年までで終了となりますが、2020年度の制度改正で従来の払い出し制限が撤廃され、24年以降は18歳未満でも必要なときに資金を払い出せるようになり、使い勝手がよくなりました。

 ジュニアNISA口座を活用し、子どもがイメージしやすい会社で10万円以下で購入できる株を一緒に探して、投資してみてもいいでしょう。株式投資とは、株の購入を通じて投資先の企業を応援すること。例えばコロナの治療やワクチン開発を応援したいのなら、医療機器や製薬企業に投資してもいいですよね。

前野さんのお話を聞いて、小学6年生の子どもがいる記者も「視覚化」にチャレンジ。ATMで両替をして千円札を100枚用意しました。思春期で難しい時期にさしかかっていますが、100枚を手にした子どもは開口一番、無邪気に「大金持ちになったみたい!」。1枚1枚数えていくことで、10万円の重みを実感できたようです。

次に「予算を組むこと」を提案。「貯金」と「今使いたいお金」を分け、買いたいものリストをお小遣い帳に書き始めました。途中で、貯金に回す分を増額するなど、子どもなりに頭を悩ませていたようです。

給付金がなぜ支給されたのかもインターネットで調べて、ノートに簡単にまとめる作業もしました。使い道がすべて決まったわけではないので、時機を見て、話し合いを続けていこうと思いました。

取材・文/須藤みか イメージカット/PIXTA


前野 彩(まえの あや)
株式会社Cras代表取締役、FPオフィス will代表
ファイナンシャル・プランナー

前野 彩(まえの あや) 中学校・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て、2001年にFPに転身。自らの住宅ローンとで生命保険で1800万円の見直しを行った経験を持つ。「お金の安心と可能性をかたちに」を理念に、お金の知恵を子育て世帯や女性に伝える。個人相談は1万円(税別)、講演やテレビでも活躍中。近著に『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール』(日経BP社)。オフィシャルサイトまんが版サイト