10万円を「視覚化」してみる

前野 そうですね。中学や高校でマネー教育の出張授業をすることがありますが、金額が大きくなればなるほど、実感が湧きにくいようです。今回の10万円も、大きい金額だということは分かっても、具体的な価値の理解までは難しいですよね。

 アルバイトを意識できる中学生くらいの年齢になれば、「時給で換算すると何時間分」とか、「朝9時から夜まで何日間働いたらもらえるお金なんだよ」などと伝えられますが、小学生はまだアルバイトという概念もない年齢。代わりに、「○○のランチセットが何百回分だよ」とか、「お小遣いが1回500円だとすると200回分だよ」などと身近に感じられるもので、金額を意識させてあげるといいと思います。

 また、キャッシュレス時代だからこそ、現金を見せるというのもいい方法ですよ。お小遣いが1回500円なら、まずは1万円を500円玉に両替してみたり、1000円なら千円札を10枚並べてみたり。銀行の窓口や両替機などで両替できますし、ATMなら「10千円」と入力して手続きすると千円札が10枚出てきます

 「視覚化」は、マネー管理においてとても大切な概念で、大人にも効果があります。1万円分の500円玉を持ってみれば、重さとしても実感できます。

―― 前編で10世帯に使い道を尋ねた際に、「社会に還元しなければ」と話す家庭がいくつかありました。