一部を子どもに渡すなら、使い方は子どもに任せる

前野 子どもの年齢によっても変わるでしょう。未就学児などお小遣いをもらっていないお子さんは、まだ使い道についての判断が難しいので、親が貯蓄するなどして管理してあげるのがよいと思います。小学生でも、給付金を本人が知っているのであれば、なぜこのお金が支給されたのか、このお金をどのように使うかについて親子で話し合ってみてはいかがでしょうか

 子どもの10万円の一部を貯蓄し、一部をお小遣いとして渡すというやり方もあります。その際は、あらかじめ家族で話し合い、いくらをお小遣いとして子どもに渡すか、というルールを決めておくことが大切です。そして、子どもに渡した分の使い道は、子どもの裁量に任せてください。親から見るとムダ使いに見えるものでも、自分で考えてお金を使うというのが大切な経験です。

 前編で、使い道をプレゼンさせるつもりだけど、「受験を控えているから、その点は考えてね」と伝えたという家庭がありましたね。とてもよいと思いますよ。これを機に、「受験にはいくらかかるんだよ、塾の費用はね……」、という話をすることができます。そして、特別定額給付金が支給された背景や、税金から出ているのだという話もできるといいですね。

―― 子どもたちに分かるように説明するのは難しそうですが……。

前野 すべてを親が説明しなくてもいいと思います。「どうしてもらえたんだろうね」と子どもに問いかけたらどうでしょう。子どもが何と答えるかをまず聞いてみる。「分からない」と言えば、子どもにネットで調べさせてもいいですし、親子で一緒に調べてもいいでしょう。

 多くの小学生にとって、税金という概念は未知のものだと思います。そこをどうかみくだいて話すかは難しいことですが、例えば、ゴミ回収を例に挙げると分かりやすいと思いますよ。「ゴミを出すよね、どうして持って行ってもらえるのかな? 街のみんなが税金というお金を払っていて、回収してくれる人や車に払うお金がその税金から出ているんだよ」など。身近なもので示せば、子どもたちも理解しやすいと思います。

行政サービスのお金がどこから出ているか考えてみるのも一つの手。画像はイメージ
行政サービスのお金がどこから出ているか考えてみるのも一つの手。画像はイメージ

―― 使い道を話し合うことが、お金や社会のことを考える機会につながるのですね。しかし、10万円という額の大きさは、子どもには捉えにくいように思います。