このお金はどこから来たのか?考えてみる

 Fさん宅では、小3と小1の娘たちに、子ども用に適しているといわれるノートPCのクロームブックを買う予定。コロナ禍で予定が延びているが、実はこの夏、家族4人で米国に引っ越すことになっていたそう。

 「米国の小学校ではクロームブックが標準になっているところがあると聞いていましたし、今後いつでも、どんなことが起こっても、子どもが必要な教育を受けられる安定した環境を整えておきたいと切実に思いましたね。子どもたちには、4分の1を自治体に寄付、2分の1をPC購入、残りは外食か旅行などのお出掛けに使うと伝えました。

 どうして10万円が手元に来るのか、このお金はどこから来るのか、私たちはそれをどう使うべきなのか、今回の給付金を税金から使ってしまった分、これからどう補填していくのか、こういうことを子どもと話し合えればと思っています」

オンライン教育の将来を見据えて、子どものためのPCを購入予定だというFさん。画像はイメージ
オンライン教育の将来を見据えて、子どものためのPCを購入予定だというFさん。画像はイメージ

 低学年の子どもたちに、税金のことをかみくだいて伝えるのは難しいことではあるが、これも社会の仕組みを伝える一つのチャンスといえる。

 小6男子がいるGさんも、経済の仕組みを教える機会だと捉えている。

 「コロナのために困っている家庭、世の中で苦しんでいる人に還元するお金だということや、親が応援したい企業などにクラウドファンディングで募金をしていることも話したうえで、子どもにも『考えてみよう』と伝えました。

 電子ピアノや傘が壊れたので、その買い替えのためにまず使うことにしましたが、それでも6万円残ります。『どんな人が困っているか、周りにいないかな』と子どもに聞くと、『よく行く近所のラーメン屋さんやうどん屋さんで使いたい』と言っていましたが、まだ考えている途中のようです。社会を勉強する機会にもなるし、お金のことについて考える意識がついていけばいいなと思っています」

 10家庭の使い道はさまざま。こうでなければならないという正解はないが、子どもとお金や社会の仕組みについて話すチャンスだと捉えてみると、給付金をより有意義に活用できるかもしれない。

 後編では、ファイナンシャルプランナーの前野彩さんに、有意義な使い方や管理のコツ、子どもとの話し合いの方法などについて聞く。

取材・文/須藤みか イメージカット/PIXTA