給付金で新たな「家族」を迎えた家庭も
「家族のために使う」というのは、Cさん宅。小5、小4、小2、未就学児2人の5人の子どもがいる。女の子4人、男の子1人だ。特別定額給付金は、夫婦の分も合わせて計70万円だ。
「私は食費の補填と、各口座への貯金がいいかなと思っていたんですが、夫が『家族みんなで使えるものを買おう』と言うので、調子が悪くなっていた電気温水器を新しいものに買い替えることにしました。あとは、子ども1人につき1万円、好きなものを買ってあげたいと思っています。子どもたちもずっと家にいて、気がめいっていましたから。女の子4人は、普段は行けないお店に行って、洋服を買うことになるでしょうね。小2の男の子にはスケートボードを買ったばかりなので、その代金に充てます」
小6と中学生2人の野球少年3人がいるDさん宅では、家族会議で相談の上、全員が賛成したものがある。
「なかなか外にも出られず、友達と会えない寂しさもあったので、前から希望していた犬を飼うことにしました。家に迎えたのはダックスフントで、35万円です。残りの15万円で、室内で飼うために床を張り替え、家族5人分の50万円を使い切りました」
支給開始よりもずいぶん前に使い切ったため、友人、知人には驚かれたそうだが、家族で「必要」と判断したとのこと。これも有意義な使い方といえそうだ。
子どもたちに使い道をプレゼンさせる予定のEさん一家
給付金の10万円を使いながら、お金のこと、社会のことを考えるきっかけにしたいという家庭もある。
Eさん宅では、子どもたちに使い道をプレゼンさせようと考えている。小4、中3、高3の3人きょうだいだ。
「こんな機会はそうはないですから、使い方をそれぞれに委ねてみてもいいかもと思っています。ただ、わが家は今年ダブル受験なので、すべて自分で使い切るのではなく『そのへんはちょっと考えてね』と上の2人には伝えています。真ん中の子は全額を貯金に回すと言ったので、『お金を社会で有効に回していくことも必要だから、なぜ給付されたのか調べてごらん』と話しました。
一番下は小4なので一緒に考えることにしていますが、既に買いたいものが一つ決まっていて、星野源さんの2万3000円(税別)の記念アルバムが欲しいそうです。普段なら我慢させますが、こういうときですから、こんな使い方もあっていいなと思いました」
アーティストたちはコロナ禍で表現活動が制限された。自分も楽しめ、アーティストの支援にもつながるという一石二鳥の使い方と言えるかもしれない。
Eさんはもう一つ、子どもたちに気にかけてほしいと思っていることがある。
「自粛期間中はネットで物を買うことが多かったので、最近は近くのお店で買う姿を見せるようにしています。例えば、本もネットで買うほうが早いのですが、本屋さんに行って予約をしています。コロナ禍で廃業せざるを得ないお店もあるので、どこから買うかも大切だということや、近所のお店で買うことが地域経済の応援につながるのだということを知ってほしいと思っています」