コロナ禍の今、私たちは子育て環境を整える上でどのようなことを意識し、どのように子育てをしていけばいいのでしょうか。保育士として12年間、保育に携わってきた大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんに聞きました。

保育の大前提は「子どもの最善の利益」だったはずが…

DUAL編集部(以下、──) 東京を中心として新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。もし、在宅勤務をしながら未就学児や小学生の子どもの面倒をみなければならない日々が再び戻ってきたらどうしようと、共働きの親たちは戦々恐々としています。

小崎恭弘さん(以下、敬称略) 小さい子どもを育てている皆さんは、今、本当に心配でしょうね。今回のコロナの事態において、僕自身も改めて「保育って何だろう?」と、いろいろ考えさせられました。

 緊急事態宣言が出されるあたりまでは、子どもたちは保育園に通っていたわけですが、あれだけ3密はダメだと言われた中、しばらく子どもたちは保育園の中に押し込められていました。子どもたちを散歩させようと公園などに連れていくと、周辺住民からクレームが入るので、保育園の中で過ごさざるを得なかったのです。小規模保育所や認証保育園など、園庭のない保育園の子どもたちは特にかわいそうでしたね。保育の大前提は「子どもの最善の利益」であったはずなのですが、今回の件で、そこに疑問符が付きました

── 今後、同じような状況になったとき、保育はどう対処すべきなのでしょうね。

小崎 そこが課題だと思います。学校は緊急事態宣言が出されるよりも前に休校になりました。保育園は休園にはなりませんでしたが、預けられるのは医療従事者をはじめ、社会インフラの機能維持のために働く親、他に特別な事情がある親の子どもに限られました。逆に言うと、特別な事情がある親の子ども以外はなかなか預かってもらえないという状況も生まれてしまいました。先ほどもお話ししたとおり、保育の大前提は「子どもの最善の利益」なのですが、親の職業によって保育園に預けることができるかどうかを決められてしまうのは問題なのではないか、という思いも湧いてきました。