3月からの休校と4月からの緊急事態宣言が解除され、いよいよ学校と保育園が再開という地域も多いでしょう。いまだ感染の恐れが続く中でどのようなことに気を付けて過ごすべきか、非常事態下の子どもたちを見てきた専門医の二人に聞きました。

非常事態で子どもは災害弱者になる

 この数カ月で生活様式や働き方が大きく変わり、「ウィズコロナ」「ポストコロナ」といった言葉が使われるようになりました。ワクチンが普及するまでに1年以上かかるなどとも言われ、感染の不安が残る中で、保育園や学校は少しずつ再開されています。友達との再会を喜ぶ子どもに対して、不安な気持ちを抱えている親は多いでしょう。こんなときこそ、正しい知識と心構えで乗り越えていきたいものです。

 震災などで子どもたちの心身のケアに第一線で取り組んできた専門医の夫婦に、親子で知っておきたい対策を聞きました。災害派遣医療チーム「DMAT」のメンバーで小児科医の河嶌美穂さん(以下、美穂さん)と精神科医の河嶌讓さん(以下、讓さん)は子どもの体と心のスペシャリストです。

 子どもたちは「災害弱者」であると美穂さんは指摘します。「災害医療の世界においては、子どもは災害弱者として扱われます。それは、こうした新型コロナウイルス感染症での非常事態にも共通していると言えます。このような事態で、子どもは自分で自分を守ることができません。あふれる情報やそのときの状況を正しく理解したり判断したりするのが難しく、虐待の対象にもなりやすい。だからこそ、誰か大人が守ってあげないといけないのです」

 中には、何が起きているのかを理解できないまま、それまでの日常だった保育園や学校に通うのをストップされたという思いの子どもたちもいるでしょう。自分で情報を取ったり選択したりできない子どもたちに、大人がどう関わって守るかが重要になる時期です。

 きちんとした知識を持たないことが、恐怖心を大きくしてしまうことがあります。「まずは、根拠のない噂やあいまいな情報に踊らされずに、できるだけデータのある事実を知ることから始めましょう」