もし新型コロナにかかったら?

 もし子どもに新型コロナウイルス感染症と疑われる症状が出た場合、どうすればいいでしょうか。「まずは、地域の保健所に連絡をして症状などを伝え、判断を仰ぎます。検査をすべきか病院へ行くべきかなど相談しましょう」(讓さん)

 その上で検査をして陽性と分かったら、改めて保健所に相談して、症状によって入院すべきか自宅療養かホテル療養すべきかを決めることになります。

 赤江珠緒アナウンサーの例でも話題になったように、親が陽性になった場合、⼦どもへの対応は保健所と相談して決めることになります。「自治体によっては医療機関での預かり入院、一時保護施設や児童福祉施設での預かりが検討されています。高齢の祖父母に子どもを預けて二次感染を招いた例もあるので、自己判断をせず保健所に相談しましょう」

 大人でも子どもでも、症状が軽くて自宅療養となった場合は、以下の8点に気を付けて生活をする必要があります。

家族が感染した場合:

※まずは地域の保健所に相談する
→症状に応じて、入院、ホテルまたは自宅などで療養

自宅療養における8つの注意点

・症状のある人とそうでない人の部屋は可能な限り家族とは別にする
・お世話をする人はできるだけ限られた人に絞る
・家の中でも全員がマスクを着用する
・こまめにせっけんで手洗い、アルコール消毒をする
・換気をこまめにする
・ドアノブなど手で触れる共用部分を消毒する
・汚れたリネン、衣類は別にして洗濯する
・ゴミは密閉して捨てる

もし症状が軽くて自宅療養になった場合でも急変することがあり得るので、下記のサインに注意をするべきだと美穂さんは言います。

自宅療養になった場合に注意すべき子どもの急変サイン

・ぐったりする、ぼーっとしたりしている
・食べたり飲んだりしなくなった
・鼻翼呼吸をしている(特に乳児の場合)
(左右の小鼻を膨らませたりへこませたりしながら鼻呼吸している)
・みぞおち呼吸している
(みぞおちがペコペコ上下するような呼吸をしている・呼吸がいつもよりはやい、肩で息をしている)
・顔色や唇の色が悪い

→これらの症状が出たら、すぐに保健所や医療機関に相談を。

 最後に、周囲で感染者が出た場合の心がけについて。

 「こうした状況の中、感染者に対する差別や偏見が大きな問題になっています。それは、医療従事者に対してもあると報告されています。感染は誰にでも起き得ることであり、その人を責めたり、その家族を差別したりすることは、その人たちをさらに追い詰めることになります。感染して入院すると家族に会えないまま亡くなる方もいます。医療従事者はリスクが高い中で人々を救うために働いています」と二人は話します。

 感染したら長い入院・隔離期間を過ごさなくてはならず、本人や家族こそ苦しんでいます。親のそういった人たちに差別をしない態度に、子どもたちは思いやりなどの気持ちを学んでいくのです。

イラストは「新型コロナウイルス時期の子どもと親の心ケア こどもと親の今の時期のこれは困ったにどう対応する?&身近な春を楽しむゆるアウトドア防災レクチャー」(5月25日にオンライン開催)をまとめたもの。提供/河嶌讓さん
イラストは「新型コロナウイルス時期の子どもと親の心ケア こどもと親の今の時期のこれは困ったにどう対応する?&身近な春を楽しむゆるアウトドア防災レクチャー」(5月25日にオンライン開催)をまとめたもの。提供/河嶌讓さん

<この記事の関連リンク>

(*)Riccardo Castagnoli, Martina Votto, Amelia Licari; JAMA Pediatr. Published online April 22, 2020. doi:10.1001/jamapediatrics.2020.1467 「Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection in Children and Adolescents: A Systematic Review」

   

取材・文/岩辺みどり イラスト/エムラヤスコ イメージ写真/PIXTA 
 協力/ママプラグ

河嶌美穂
小児科医 日本小児科学会指導医、日本小児科学会専門医、救急科医。厚労省DMAT事務局勤務や国際緊急援助隊医療チーム派遣経験あり。漫画「コウノドリ」第21巻、22巻「災害医療編」三杉マホのモデル。幼児、小学生、中学生の3人の男子の母。
河嶌讓
精神科医 医学博士、精神保健指定医。厚労省DMAT事務局勤務や災害時の医療チーム派遣経験あり。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと一緒に平時には研修を開催、災害時には支援活動を行なっている。3児の父。