新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、長期間の休校を余儀なくされている子どもたち。環境の変化にストレスを感じることのある発達障害の子は、強い不安感からパニックになる、こだわりが強くなるといった傾向が見られることもあります。親子が長い時間顔を合わせる状況になり、これまでは気づかなかった課題が見えてくるケースもあるでしょう。今、親は子どもをどのようにサポートしたらいいのでしょうか。臨床心理士・臨床発達心理士の菅佐原 洋さんと、発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」の編集長・牟田暁子さんに、休校中の子どもとの関わり方について聞きました。

元々抱えていた課題が環境の変化によって強く現れる

 臨床心理士・臨床発達心理士の菅佐原 洋さんはこう言います。「この状況下では、新たな課題が現れるというよりも、それぞれの子どもが抱えていた課題が目立ったり、強く出てきたりするケースが多く見られます。環境の変化も要因の一つですが、親のストレスや不安が子どもに伝わって起きているケースもあります。特殊な状況下でも親が落ち着いて安定していることが、子どもにとって一番の支えになります

 親は今、どのようなストレスや不安を抱えているでしょうか。「LITALICO発達ナビ」が3月4日~8日に発達障害のある子どもを育てる保護者を対象に行った緊急アンケートでは、休校による心配事として「子どもの学びの機会の減少」「生活リズムへの影響」「家庭内でのトラブル増」への懸念が大きいことが分かりました。「休校により生じるメンタル面での悪影響」について聞くと、「急な環境変化により子どもが不安定になる」(48%)が最も多く、「24時間子どもと過ごすことによるストレス」(42.3%)、「急な環境変化により、保護者が不安定になる」(35.8%)と続きました。

 そこで、不安や悩みを専門家に相談するなど、保護者同士がつながりを持ち、共感できる場を作ることを目的としたオンライン保護者会が3月中旬に8回実施されました。「保護者のストレス緩和法や家庭学習の支え方、生活リズムの乱れへの対応法、不安定になっている子どもとの関わり方といったテーマを設け、臨床心理の専門家にも参加してもらい、さまざまな不安や悩みをシェアし、アドバイスを受けたりしました。はじめは硬い表情だった方も次第にリラックスし、保護者会が終わる頃には表情がやわらかくなり前向きになっていくのが印象的でした」(「LITALICO発達ナビ」の編集長・牟田暁子さん)

 保護者会では「これまでに身に付けてきた生活リズムや学習習慣が休校によって崩れてしまうのでは」という声や、新一年生の子どもの保護者から「次の見通しが立たず不安」という声が多く寄せられたといいます。家庭では、どのようなサポートをしたらいいのでしょうか。