緊急事態宣言が出され、首都圏の4大中学受験塾も対面授業が一斉に休止になりました。対面授業ができなくなった今、各塾ではどのような対応をしているのでしょうか。さまざまな大手進学塾に通う子どもたちの学習フォローや志望校対策を指導している中学受験専門の個別指導塾SS-1副代表の馬屋原吉博さんに各塾の対応と、家庭学習のコツを教えてもらいました。また、これらの動きは、これから通塾を考えている人の塾選びや中学受験のやり方にも大きな影響がありそうです。詳しく紹介します。

塾の映像授業はどのような内容?

 4月7日、新型コロナウイルスが首都圏で急速に拡大している事態を受けて、緊急事態宣言が出されました。東京都では学習塾に、原則として施設の使用停止を要請。中学受験の勉強を指導する首都圏の4大塾(サピックス、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー)も休校となりました。

 来年の入試本番まではまだ時間はあるけれど、6年生の受験生は、通常なら志望校別クラスに入るための模試などを受けたり、志望校の検討に本腰を入れ始める大事な時期。わが子の受験勉強はどうなるの?と不安を感じている方も多いことでしょう。

 休校中の各塾の対応を下にまとめました(4月15日時点の情報)。

【サピックス】

4月7日から休校、映像授業を配信。4月中のテスト、入塾説明会は中止。4月中旬からメールでの質問受付開始

【日能研】

4月7日~23日まで休校。4月10日から映像配信。4月23日までのテスト、教室イベントは中止。4月24日以降の予定は4月17日頃発表予定。

【四谷大塚】

4月8日から休校、高学年はIT授業「予習ナビ」「復習ナビ」に切り替えて学習。4月12日の6年生の「合不合判定テスト」は郵送のうえ、自宅受験。

【早稲田アカデミー】

4月8日から休校。4月分の授業については、4月13日からオンラインによる「双方向Web授業」に切り替え。4月中の模試は中止。


 それぞれの塾の映像授業などについて、馬屋原さんに詳しく説明してもらいます。

【日能研】

 「ホームページのマイページから映像授業が見られるようになっています。保護者の方から伺ったお話によると授業と同じように黒板を背景にして、先生が解説していかれるようです。普段の授業と違うところは、先生の板書がなく、代わりに授業のポイントが書かれた紙を黒板に貼っていきます。時間の効率を考えた映像授業になっています。

 また短時間の体操動画が複数用意されているなどユニークな作りになっており、保護者からは好評のようです。

 テストは4月23日までは行いません。ただし、4~6年生の学習力育成テストは自宅で受験します」

【四谷大塚】

 「高学年は既存のIT授業『予習ナビ』『復習ナビ』に切り替わり、低学年については検討中です。

 すでに出来上がっている映像授業なので、きれいに編集されているという印象を受けます。しかし、見る子どもによっては、ノイズが一切なくしんどく感じるかもしれません。ノイズとは、対面授業ならよくあるちょっとした雑談だったり、子どもたちの反応だったりします。実はこうした一見ムダなように見える情報が大事で、子どもの記憶にも残りやすいのです。

 4月12日に予定していた6年生の『合不合判定テスト』は、会場では実施されず、テスト問題・解答用紙を自宅に郵送し、自宅で行うことになりました」