新型コロナウイルスの影響が当初の予想を超えて広まっています。感染者の増加と併せて大きく報じられているのが、世界的な株価の下落と経済への影響です。東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まったのに加え、4月7日には緊急事態宣言が7都府県を対象に出されました。コロナショックともいわれる今回の事態から、共働きの家計を守る方法を紹介した前編に続き、後編は投資について考えます。教育費や老後資金の形成を目的に投資をしている人は、今回の事態を受けてどう行動すべきでしょうか。FPの坂本綾子さんが解説します。

株価が3割以上下がったことも

 新型コロナウイルスの影響で、世界的に株価が下落しています。投資を始めたばかりの世帯では、どう対応したらいいのか、不安を感じていることでしょう。コロナショックとも呼ばれる今回の状況について、まずはこれまでの経緯を振り返ってみましょう。

 2019年末に中国の湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が発生、その後、新型コロナウイルスが原因だと分かりました。感染者が急増し、死者が出たことにより、世界的なニュースになったのが2020年1月です。

 当初は武漢市と、日本の横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に感染者が集中していました。ところが、次第に各国に広がり、2月下旬以降、ヨーロッパや米国でも感染者が爆発的に増加。これをきっかけに株価が下がり始めました

 3月に入っても値下がりは続き、日本株の値動きの代表的な指数である日経平均株価は、1日で1000円以上も下がった日があり、2月中旬に2万3000円前後だった日経平均株価は、3月19日には終値で1万6000円台に下がりました

 また米国株の代表的な指数であるNYダウは、1日で1000ドル超の値上がりや値下がりという激しい乱高下の末、2月中旬の2万9000ドル前後から、3月23日には終値1万8000ドル台に下がりました。いずれも3割以上の値下がりです。ヨーロッパやアジアでも2月下旬以降、株価は急落しています。

米国でも株価が急落
米国でも株価が急落

 日経平均とNYダウは、3月中旬以降やや回復し、4月6日の終値は日経平均が1万8000円台、NYダウが2万2000ドル台でした。しかしいずれも2月中旬の水準には回復していません。どうしてこんなに株価は下がったのでしょうか? 中国は世界の工場とも呼ばれ、各国の企業の生産拠点が数多くあります。感染拡大を防ぐために武漢市が封鎖され、工場も操業停止になり、企業の生産体制に影響が及びました。

 これだけでは収まらず、ヨーロッパや米国、そして日本でも、外出制限、学校の休校、イベントの中止、出入国の制限が行われ、世界的に人の動きが制限されることになりました。航空会社、ホテル、飲食店、小売店などの売り上げは激減。この影響による旅館などの倒産も報じられています。いつになったら感染拡大が収まり、平常の生活と経済活動に戻れるのか、経済的損失がどれくらいになるかを見通せないことが、株価下落の原因と言えそうです

 DUAL読者の中には、将来の老後資金や子どもの教育費の形成のために、資産の一部をNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)、あるいは一般的な投資信託などに回している人もいると思います。このような状況で、投資についてどう考えればよいでしょう。