新型コロナウイルスの影響が当初の予想を超えて広まっています。東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まったのに加え、4月7日には緊急事態宣言が7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)を対象に出されました。政府は事業規模で総額108兆円の緊急経済対策も打ち出しましたが、既に企業活動の制限や店舗の臨時休業、営業時間短縮、イベントの中止などによって、業務に支障が生じ、月収やボーナスに影響が出ている人もいるのではないでしょうか。今回の事態から、共働きの家計を守る方法を、FPの坂本綾子さんが前後編に分けて解説します。前編は、収入が下がったときの対処法についてです。

コロナによる家計の悪化、3つのシナリオ

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。勤務先や働き方によっては、既に影響が家計に及んでいるという人もいるでしょう。政府は4月7日に、特別措置法に基づく緊急事態宣言を、7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)を対象に出しました。期間は5月6日までで、その間は不要不急の外出の自粛、大規模イベントの開催中止、店舗や教育機関の臨時休業または営業時間短縮などが続くことになります。いずれも経済活動を停滞させるため、今のところ家計に大きな変化がない人も、今後は影響が出るかもしれません

この機会に支出の見直しを。画像はイメージ
この機会に支出の見直しを。画像はイメージ

 また、東京オリンピック・パラリンピックが1年程度延期になったことで、宿泊業などを中心にさまざまな影響が出ることが指摘されています。このような事態による家計への影響を、以下の3つのシナリオに分けて、対策を考えてみます。

シナリオ1 企業の休業や営業時間短縮、業務減で月収が減少
シナリオ2 勤務先の業績悪化でボーナスが大幅減
シナリオ3 勤務先の倒産や解雇などにより失業

 シナリオ1と2については、月収やボーナスの減少がいつまで続くか分からない点が不安かと思います。ただ、もともとの家計の収支に余裕がある、取り崩しても問題がない一定額の円預金が銀行などにある、あるいは収入が減少した分を節約などでカバーできるなら、乗り越えられます。共働きは家計にある程度余裕がある世帯が多いはずですが、もし厳しいようなら、これを機会に支出の見直しをしましょう

 収支に余裕がない世帯で、最も困るのが住宅ローンの返済比率が高くて家計を圧迫しているケースです。何事もなければ、変わりない日常が過ぎていったのかもしれませんが、こういったピンチのときは、月収やボーナスの減少によって住宅ローンの返済が難しくなってしまうかもしれません